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福岡市雨水貯蔵施設の整備加速 豪雨被害を食い止めろ

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 九州北部豪雨や西日本豪雨など、自然災害が多発している。そんな中、福岡市は過去に都心部が大規模に浸水し、犠牲者を出した教訓から、被害を食い止めるための雨水貯蔵施設の建設を急ぐ。アジアのリーダー都市を目指すその足元で、都市機能を支える公共インフラの強化が着々と進む。 (中村雅和)

 今月3日、福岡・天神の繁華街の北の外れで、地下約20メートルで建造中の巨大な雨水管(長さ900メートル)が報道関係者に公開された。

 博多湾に面した長浜地区から内側の那の津通りにかけ、2年半にわたり掘削事業が進められてきた。

 平成21年に本格化した天神一帯での雨水管整備第1期計画の「ラストピース」ともいえる場所だ。今年末には実際に運用が始まる。

 坑内は薄暗く、ひんやりする。巨大な管にはわずかに傾斜をつけ、水が内陸から博多湾方向へ流れるように工夫されているが、実際に歩くと傾斜は感じない。

 直径は5メートルある。市営地下鉄七隈(ななくま)線のトンネル(4・74メートル)よりも広い。

 地上と並行して巨大な穴を掘る装置、シールドマシンを地下に搬入するため掘った立て坑や、これまで整備した雨水管も含めると、天神一帯の貯水能力は6万立方メートル(25メートルプール約160杯分)にもなる。

 市によると、この先、ためた雨水を博多湾へ流すポンプ場の整備を終えると、最大で1時間に79・5ミリの猛烈な雨にも対応できる。

 大都市はとかく自然災害にもろい。今回の整備計画も、きっかけは平成11年6月に福岡を水浸しにした豪雨だった。

 都心部で1時間当たり79・5ミリの雨が降った。当時の排水能力(1時間当たり52ミリ)を大きく上回る雨量に街はパニックに陥った。

 市内を流れる川の水があちらこちらであふれた。コンクリートに覆われ、路面の舗装も水はけが良くはないことも相まって、博多や天神の街が最大で1メートル冠水した。天神地下街にも水が押し寄せた。博多駅近くのビルの地下では、逃げ遅れた女性が犠牲になった。

 市は浸水対策に本腰を入れる。翌年には、天神や博多を重点地区と定めた。

 博多駅周辺では16年度から24年度に、総額353億円をかけ、雨水管や雨水調整池を整備した。

 この間、21年には九州北部や中国地方を大雨が襲った。福岡市の雨量は1時間当たり116ミリと、11年を大きく上回ったが、博多駅周辺では18年に完成していた調整池が、被害を最小限に食い止めた。

 先月の西日本豪雨でも雨水管は福岡市民の暮らしを守った。池の法面は一部、崩れた。それでも都心部は大きな冠水被害はなかった。高島宗一郎市長は「過去の“痛み”を経て整備してた施設が、奏功した結果だ」と語った。

 とはいえ、課題も残る。

 天神は博多湾側から少しずつ標高が低くなり、水が流れ込みやすい地形だ。

 中心部を東西に走る明治通りの南側など、標高が低い地域の整備はほぼ終えた。ただ、北側や標高2・7メートルの市役所一帯は、今年度中をめどに新たな整備計画を立て始めた段階で、大雨へのリスクは残る。

 市下水道事業調整課の原口明課長は「再開発事業『天神ビッグバン』もあり、雨水対策は待ったなしだ。災害に強いまちづくりを加速させたい」と語る。

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