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鶴ケ島にIHI工場 成長する世界のエンジン市場見据え航空機産業の集積期待

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 鶴ケ島市の県農業大跡地の北側産業用地の取得をめぐり、重工大手のIHIが県との優先交渉権を獲得したことで、県などは地域経済への波及効果を期待している。IHIは航空機エンジン工場の建設を計画しているが、世界の民間航空機市場は年率5%で成長し、20年後に倍増するとされる。県内メーカーもIHI進出に高い関心を示しており、県は「鶴ケ島」を航空機産業の集積地に育てたい考えだ。(黄金崎元)

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 「ホンダの狭山工場の閉鎖が決まり、県内経済への影響が懸念されるが、IHIの進出で、航空機産業のすそ野が県内に広がってほしい」と語るのは県産業労働部の石川英寛副部長だ。

 県は7月に公募していた県農業大跡地の北側産業用地の取得で、IHIに優先交渉権を与えた。IHIは9月定例県議会で同意を得た上で、10月に土地売買契約を県と締結する予定だ。

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 IHIは瑞穂工場(東京都瑞穂町)で航空機エンジンの製造や修理を行っているが、民間航空機の需要増に対応するため、新工場建設を検討していた。

 同社は米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米プラット&ホイットニー(P&W)など世界の主要な航空機エンジンメーカーの部品を製造している。また、収益の大きな柱が修理サービス事業だ。組み立てや塗装、溶接、機械加工などの技術が認められ、瑞穂工場は世界21カ国からエンジンが持ち込まれ、「ミズホ・ホスピタル」とも呼ばれている。

 加えてメンテナンス能力を保有しない格安航空会社(LCC)の需要が増えており、鶴ケ島でも製造のほか、修理サービスを展開。まず約200億円を投じ、工場を建設し、来年に一部ラインを稼働させる。鶴ケ島では瑞穂工場からの異動組と新規採用を合わせて計約500人の従業員が働く予定で、需要に応じて、さらに設備投資と雇用を増強するという。

 IHIの関係者は「大学との連携をはじめ、県内企業との取引を増やし、地域経済の活性化にも貢献したい」と話している。

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 こうした動きを受け、県内の製造業でも受注増への期待感が高まっている。機器製造の二光製作所(さいたま市岩槻区)の坂口吉昭社長は「既存のサプライヤーだけでなく、県内企業にも門戸を開いてチャンスを与えてほしい」と訴える。

 航空機部品製造のウラノ(上里町)の小林正伸社長も「鶴ケ島の工場では修理サービスを外注するとの話が出ており、ぜひ参入したい」と意気込む。ただ、中小企業が参入するには認証取得が必要で、そのコスト負担が大きなハードルとなっている。小林社長は「国や県の助成があれば、県内企業がもっと参入しやすくなる」と指摘する。

 鶴ケ島工場が世界の航空会社から「ツルガシマ・ホスピタル」と呼ばれると同時に、埼玉が航空機産業の集積地になるには中小企業の努力だけでなく、県内でサプライヤーを育成しようとするIHIの積極的な姿勢や県など関係機関の後押しが今後の大きな課題となりそうだ。

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