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【埼玉経済ウオッチ】和雑貨店「つくりえ」・塚田敬子代表(39)

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【埼玉経済ウオッチ】
和雑貨店「つくりえ」・塚田敬子代表(39)

 ■支援活用し創業 夢は海外展開

 先月の埼玉経済ウオッチでは「創業・ベンチャー支援センター埼玉」(さいたま市中央区)を訪問し、県の創業支援活動などを紹介した。そこで、女性やシニア層の創業相談が増えており、それらのセミナーの開催が盛況というのが特筆すべき点だった。

 ◆「何か新しいことを」

 今回は県の創業支援で起業した合同会社「つくりえ」(さいたま市北区盆栽町)を訪問した。同社は平成26年12月に創業し、和雑貨店「つくりえ」を運営。和を感じさせる素材やデザインを重視しながらも、モダンなテイストを取り入れた陶器や布小物、衣類、アクセサリー、文房具など幅広い商品を取りそろえる。

 代表を務める塚田敬子さん(39)は小1と小3のお母さんで、中小企業診断士の夫のサポートを受けながら、事業を展開している。「何か新しいことをしてみたい」と思い、25年にさいたま市産業創造財団(同市中央区)の「さいたま市ニュービジネス大賞2013」に応募した。そこでファイナリストに選ばれ、27年4月に盆栽町に和雑貨店「つくりえ」をオープンさせた。

 ハンドメード作家の委託販売スペースを設置し、ものづくりのワークショップなども行っていた。地元では盆栽町の「和」の雰囲気に溶け込んだ店として知られていたが、同年11月の火災で閉鎖に追い込まれた。

 ◆火災を乗り越えて

 塚田さんは「ようやく事業が軌道に乗り出した矢先のことで茫然(ぼうぜん)とした」と当時を振り返る。失意の中で「常連客や作家さんから、手書きの手紙を何通ももらい、とても励まされた」という。一念発起し、29年11月に同じ盆栽町内に新店を再オープンさせた。

 新店は築40年の空き家となっていた2階建て5LDKの庭付き戸建てをリノベーションした物件の中にある。この物件は塚田さんと旧知の仲でもあるハーブ教室「Herbal MOMO」(同市大宮区)を主宰する園藤祐子さんが持ち主から活用依頼を受けた。

 場所に余裕があり、園藤さんは共同運営できるパートナーとして塚田さんに声をかけ、入居が決まった。塚田さんは「資金面などから5年後くらいの再開を考えていた。まさかこんなに早く実現するとは思わなかった」と笑顔で語る。

 ◆コンテストで優秀賞

 再オープンは2年前に火災に遭った29年11月3日とした。「一番つらい日だったこの日を一番良い日にするため、あえて、この日を二度目の出発日に選んだ」という。現在の店舗は市内や県内で個人活動している作家の布小物や革小物、陶芸品、和のアクセサリー、衣類、籠染灯籠などを取り扱う。

 昨年9月には「県伝統工芸品等新製品開発コンテスト」で、火災時に励まされた手紙に触発され、商品化した小川町や東秩父村で生産されている「小川和紙」とユネスコ無形文化遺産「細川紙」「春日部桐箱」、漆調筆ペンで構成されるレターセット「恋文KOIBUMI-LoveLetter-」が優秀賞を受賞した。

 今年に入ってから、百貨店で催事販売も頻繁に行っている。ただ、店舗と催事販売の両方を塚田さん1人で行っており、多忙を極める。塚田さんは「安定的な売り上げ確保とタイムマネジメントが経営課題」と話す。「今後は日本の良さを知ってもらうため、海外でも自社商品を販売したい」という夢を持つ。塚田さんの活躍が期待される。 (土持功・東京商工リサーチ埼玉支店長)

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【プロフィル】つちもち・いさお

 昭和47年、宮崎県生まれ。立正大学卒。平成10年東京商工リサーチ入社。東京支社調査部を経て、27年6月より現職。趣味はサッカー(最近は観戦が主)、ランニング。