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群馬県防災ヘリ墜落 関係者に悲しみ広がる 稜線トレイル静かな開通

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群馬県防災ヘリ墜落 関係者に悲しみ広がる 稜線トレイル静かな開通

 県の防災ヘリコプターが中之条町の山中に墜落した事故は、搭乗者9人全員の死亡が確認される最悪の事態となった。事故から一夜明けた11日は「山の日」。ヘリが事故当日、安全確認のため視察していた登山道「ぐんま県境稜線(りょうせん)トレイル」は予定通り全線開通し、多くの登山者が訪れた。記録的な猛暑が続く今夏、ヘリは熱中症になる登山者の救出など重要な役割を期待されていた。搭乗者の命が失われた突然の悲劇は大きな波紋を広げている。

 墜落事故を受け、予定されていた開通記念セレモニーなどは中止となったが、「山の日イベント in 谷川岳」(谷川岳エコツーリズム推進協議会、県山岳団体連絡協議会主催)には県内外から88人が参加。残雪がまだ残る谷川岳のトレッキングを楽しんだ。

 親子で参加したみなかみ町の高校1年、吉野脩人さん(15)は「谷川岳はみなかみ町の象徴。豊かな自然を生かしたトレイルに多くの人に来てほしい」と話した。

 稜線トレイルのルートの中で唯一未開通だった中之条町の白砂山と三坂峠の約10キロの区間を2年間かけて整備した同町のアウトドアガイドの木村正臣さん(55)は「今年は暑さで熱中症になる登山者が多く、救助隊が必死に救助活動を行う様子を目にしてきた」と説明。

 「稜線トレイルは標高も高く麓から離れているので、登山者の救助にはヘリコプターが欠かせない。いざというときのために、危険箇所をヘリコプターで確認している最中に墜落事故で亡くなってしまったことを思うと、ショックで言葉も出ない」と声を詰まらせた。

 墜落事故が起きた10日、荻沢滋副知事とともに取材に応じた吾妻広域消防本部の小池信行消防長は、ヘリは本来9日に飛行する予定だったが、天候が悪く10日に延期したと明かした。

 稜線トレイルの状況を確認するため、消防側が飛行を依頼したという。小池消防長は目に涙を浮かべて「徒歩では時間もかかるので、上空から危険箇所を確かめるために要請したのだが」と悔やんだ。

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【用語解説】ぐんま県境稜線トレイル

 県のホームページによると、新潟、長野との県境の尾根を主要ルートとするロングトレイル(距離の長い自然歩道)。主に既存の登山道をつないだ長さ約100キロのルートで、国内最長の稜線ロングトレイルとされる。みなかみ町の土合から嬬恋村の鳥居峠を結ぶ。谷川岳や四阿山(あずまやさん)といった山を含むほか、草津、万座といった著名な温泉地が近くにある。