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戦中の市川の実像伝える きょうから「平和を見つめる写真展」

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戦中の市川の実像伝える きょうから「平和を見つめる写真展」

 「平和を見つめる写真展」(一般社団法人市川市平和教育推進会議・写真展実行委員会主催)が10日から、市川市文化会館(同市大和田)で開かれる。同市在住の写真家、田中正文さん(58)が第二次世界大戦の激戦地で撮影した戦争遺跡や戦時中の市川の実像を記録した貴重な写真など約80点を展示する。

 田中さんは十数年前、日米両軍による死闘が繰り広げられたパラオ諸島の海に潜った。

 「暗く濁った海の底から、幽霊船のような日本軍用貨物船が現れた。無念に散った英霊を思い、日本人としてたまらない気持ちになった」と振り返る。

 その衝撃的な体験を経てライフワークとして戦地取材を続けている。海底に沈む艦船や機体、沖縄の野戦病院壕跡などを撮影してきた。また、市民グループで実行委員会を結成。平成27年夏から「戦争の惨禍(さんか)を知り、命と平和の尊さを考えるきっかけに」として写真展を開催している。

 今回は、戦時中の市川市に光を当て、市民や市が保管している写真を探した。旗やのぼりを手にして出征兵士と行進する婦人たち▽防毒面を装着して訓練する男性たち▽米軍の空襲を受け、焼け野原と化した同市中山地区の住宅地-などをパネルにして展示する。

 田中さんは「出征兵士を送る行進には一種の高揚感があるが、参加者の顔をよく見ると、沈鬱(ちんうつ)な表情の市民もいる。複雑な心境をうかがえる。今後、市民が持つ戦時中の写真を借りてスキャンし、アーカイブ化していきたい」と語る。

 出征兵士や家族らは春日神社(同市市川3丁目)を参拝し、武運長久を祈願したと伝えられる。セミが鳴く境内には慰霊碑が建つ。「国のため、郷土のために戦って散華された39柱の英霊」と記され、戦死者の氏名が刻まれている。

 田中さんは「ひとり、ひとりの英霊の芳名をきちんと残している。よくなさった。写真展を見て、慰霊碑に手を合わせていただければ」と語り、静かに合掌した。12日まで。午前10時~午後6時(最終日午後5時)。入場無料。