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【千葉聞き歩き】「ぬれ煎餅」に続くか

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【千葉聞き歩き】
「ぬれ煎餅」に続くか

 「銚子を元気にするため、銚電を続けていきたい」と、銚子市が8月31日まで、ふるさと納税サイトで銚子電鉄の車両検査費に充てる1千万円を募っている。しかし、寄付の合計は92万8千円(30日現在)。目標にはほど遠い。車両検査には1編成(2両)で1500万円もかかるという。

 「電車屋なのに自転車操業です」。本社がある仲ノ町(なかのちょう)駅を訪ねると、竹本勝紀社長(56)が“自虐ネタ”で出迎えてくれた。

 銚子-外川(とかわ)間わずか6・4キロが営業エリアの銚電は開業95年。過疎化による沿線住民の減少などで苦しい経営が続く。名産のしょうゆを使ったぬれ煎餅を20年ほど前に売り出し、鉄道ファン以外にも銚電の知名度は広がった。

 駅舎などの命名権契約も含めた年間約4億9千万円の収入のうち約7割がぬれ煎餅の販売だ。「もはや鉄道会社でなく、せんべい屋です」

 正社員約20人の小さな会社では、社長も運転士を務める。技能試験に2度落ちたが、2年前、免許を取得できた。社外取締役となったのが縁で社長に就任したが、本業は税理士だ。

 ある日曜夕、社長が運転する車両に乗った。客は私を含めて3人だけ。「いつも空気を乗せて走っているようです。でも、社員と同じ目線にたち、連帯感を高めたいと運転してます」

 大好きな“自虐ネタ”は、苦しいときこそ、笑いからとの思いによるもの。「経営がまずいので」と、新商品として棒状のスナック菓子を「まずい棒」という名前で8月3日から犬吠(いぬぼう)駅などで発売する。少しふざけすぎな気もするが、社長はいたって真剣だ。はたして、ぬれ煎餅のように多くの人に愛される息の長い商品に成長するだろうか。 (斎藤浩)