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【上州この人】富岡の養蚕農家後継者・高橋直矢さん(27) 五輪メダルリボンに国産絹を

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 「メダルリボンに純国産絹を」-。2020年東京五輪に向け、養蚕から絹製品小売まで全体を束ねる蚕糸団体・大日本蚕糸会が日本オリンピック委員会(JOC)にこう働きかけている。発案したのは、富岡市内で最年少の養蚕農家後継者、高橋直矢さん(27)。実現するかどうかは未知数だが、「世界中にジャパンシルクを発信したい」という熱い思いがある。(椎名高志)

 昨年4月、農林水産省で若手の養蚕農家や絹製品製造事業者ら18人が集まった意見交換会「これからの国産シルクを語る会」。メンバーの一人として、「国産シルクの需要を拡大するための取り組み」というテーマに手を挙げた。

 「全国の養蚕農家の糸を集め、各国選手が首から下げるメダルのリボンを作ったらどうか」

 脳裏には大学時代の友人でリオ五輪に出場した陸上やり投げの新井涼平選手の姿があったという。

 この会をきっかけに具体化の動きが始まり、日本の伝統技術による「上質な純国産絹による平組組紐」を使ったリボンの試作品も完成。既にJOCに提示している。

 「現段階ではメダルの図案すら決まっておらず、リボンがどうなるか分からない」(大日本蚕糸会)という状況だが、「われわれもオールジャパン。採用されれば、養蚕農家のモチベーションが限りなく上がる」と力説する。

 富岡製糸場が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された平成26年4月、大学卒業と同時に4代目として家業を継いだ。

 「迷いはなかった。一人っ子ということもあり、家に入るのは当たり前のことだった」

 カイコの成長段階の見分け方、餌である桑のやり方、暑さ対策-。父親で甘楽富岡蚕桑研究会会長の純一さん(69)を師匠に、実地を踏んできた。

 「これまで経験してきたことは身についたと思う。それでもまだまだ赤ちゃんレベルかな」

 戦後の県内養蚕農家は昭和33年の8万4470戸をピークに減り続け、昨年は121戸。同時に高齢化なども指摘されている。

 それでも、「最近は若い養蚕農家がチラホラ芽生えている」と感じている。県は平成28年から担い手確保を目的に「ぐんま養蚕学校」を開講。27年以降、同校卒業者を含め18人が新規参入を果たしているという。

 「参入者はそれぞれ理想を持っている。もっと増えて励まし合いながらやっていきたい。養蚕農家はみんな仲間。伝統とか文化ではなく、養蚕は産業なんだという気持ちで続けていきたい」

 そう語気を強めた。

                   ◇

【プロフィル】高橋直矢

 たかはし・なおや 平成3年、富岡市出身。県立富岡高校から国士舘大体育学部へ進学。26年3月の卒業に伴い家業を継ぐ。父親の純一さんと母親のみち子さんと3人で、年間50万頭のカイコを飼育し生繭で1トン超を生産している。自宅周辺や高崎市内などに点在させた桑園は約1ヘクタール。

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