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「隻腕の相撲取り」大会沸かす 布施美樹選手、11年ぶり実戦 埼玉

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 県立武道館(上尾市)で開かれた第56回東日本実業団相撲選手権大会(東日本実業団相撲連盟主催、産経新聞社など後援)で、右腕の前腕部がない布施美樹(よしき)選手(44)が11年ぶりに実戦復帰した。「隻腕の相撲取り」は拓殖大学教職員チームの大将として団体戦2部に出場し、予選全勝でチームをベスト8に導いた。

 「おぉー」と歓声が起こったのは団体戦初戦。相手の左腕を抱え込み、自分の右側に巻き込むように相手を土俵にはわせた。「かいなひねり」という布施選手の得意技だ。2戦目は左腕一本で相手を投げ、3戦目も危なげなく勝利し予選全勝。今月8日に行われた団体戦は3人制だが、全て1-1で迎えた後の勝敗を決める大一番だった。

 「かいなひねり」について「相手の片腕を抱える技は漫画からヒントを得た。柔道をしていた経験も生きた」と話す。ハンディをハンディで終わらせないための試行錯誤が詰まった技だ。

 布施選手は北海道に住んでいた8歳の時に農作業用カッターに右腕を巻き込まれ、肘から下を切断。好奇心旺盛で農機への興味が抑えられなかった。翌年、父親の勧めで柔道を始めた。片腕での格闘技は容易ではないが、体の大きさを生かして勝負した。

 しかし、柔道では結果が伴わず、高校で相撲に転身。高校総体ベスト8など才能を発揮し、現在は拓殖大学第一高校(東京都)の相撲部顧問として後進の指導に当たっている。

 教員になってからも試合に出ていたが、11年前に引退。復帰のきっかけは、母校の拓殖大学に有力選手が職員として勤務することになり、関係者から団体戦に出場してほしいと依頼されたためだ。

 一方、現役復帰の話が来た昨年は、拓一高校相撲部の部員は3年生1人で、新入部員のめども立たず存続の危機だった。ハンディにめげず「再起」を目指す情熱が生徒たちに伝わったのか、今年2年生2人が新たに入部した。

 東日本実業団相撲選手権大会を終えて、布施選手は「ハンディを持っている選手でも誰でもやればできると示せた」と振り返り、今後について「私の相撲を見て驚く人がいた。それが私の出る意義。選手として、指導者として、今後も周囲を驚かせていきたい」と意欲は尽きない。 (川上響)

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