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【拓け信州2018知事選】(下)子供の貧困、人材難に直結 長期的な取り組みを

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 「子供の貧困」が取り沙汰され始め、国会が「子どもの貧困対策に関する法律」を全会一致で可決したのは平成25年6月。「教育の支援」「生活の支援」「子供の貧困に関する調査研究等」といった6項目の重点施策を打ち出した。県が実態調査に乗り出したのは、その4年後の29年だった。

 「これほどとは…。数字の大きさに驚いた」

 「『子供の貧困』が叫ばれていたが、調査結果が示す事態の重大さに気付かされた」

 調査を担当した県県民文化部や子育て支援団体の関係者らは、調査結果に言葉を失った。大都市と比べ、「『貧困』には自治体や住民の目が届きやすい長野」という既成の考え方が霧散し、喫緊の課題である実態が浮き彫りになった。

 ■4分の1が直面

 調査では、9・3%が「困窮家庭」に分類された。これに準じる「周辺家庭」も15・2%が該当した。子育て家庭の実に4分の1が貧困に苦しんでいたのである。

 「困窮家庭」とされた家庭には、以下の基準が当てはまる。

 (1)「低所得」(世帯の可処分所得が3人家庭の場合、210万円未満)(2)「家計の逼迫(ひっぱく)」(経済的理由で公共料金の滞納、食料・衣類の購入困難が1つ以上)(3)「子供の経験や所有物の欠如」(学習塾や家族旅行など15項目のうち、3項目以上が経済的理由で困難)のうち、2つ以上該当した場合となる。「周辺家庭」は、1つ該当した家庭だ。

 阿部守一知事は、結果公表後の記者会見で、「具体的な実態が見えてきたので、まずはしっかり全庁的に問題意識を共有したい」と述べ、同部をはじめ、健康福祉部や教育委員会などとの連携を強化する考えを表明した。

 措置すべき施策については「これまで取り組んできたことも、さらに強化すべきか。あるいは、新しい視点で取り組むべき課題があるか。それらにしっかり向き合いたい」と強調した。

 ■追いつかぬ対策

 県は26年度、非課税世帯で、県内の大学・短大への進学を希望する学生らを対象に、給付型の奨学金制度をスタートさせるなど、「貧困」問題には、一定の対策を講じてきた。だが、深刻な実態を突きつけられて、新たな施策をとる必要性に迫られた形だ。

 今年3月には、「子ども・若者支援総合計画」を策定し、今年度から5年間にわたり、経済問題などを抱える子育て家庭を支援するため、「信州こどもサポート(仮称)」を県内全域で構築する考えだ。子供の居場所づくりを進める「信州こどもカフェ」事業の拡充策にも取り組み始めた。

 医療機関の受診にも、「貧困」は影を落とした。困窮家庭では、受診させたくてもさせられないとの回答が、36・2%あった。一般家庭は12・8%なので、3倍以上の開きがある。8月1日からは県内で一斉に、子供医療費の負担軽減策(定額300~500円、一部無料化)が実施されるのも、危機意識のあらわれだ。

 県生活協同組合連合会(生協連)やJA長野中央会などが27年10月に立ち上げたNPO法人「フードバンク信州」。家庭で余ったり、規格外で流通しなかったりした食品を募り、支援が必要な家庭に届ける取り組みを続けている。

 米やカップ麺、缶詰、レトルト食品…。同法人に持ち込まれた29年度の食品は26トンに達し、前年度の1・5倍に達した。同法人の担当者は「貧困が身近にあり、切実な社会問題なのだと広く認識されるようになった」と話す。

 ■「負の連鎖」断ち切れ

 県世論調査協会が実施した結果によると、知事選の争点にすべき政策課題のトップは、「教育・若者・子育て支援」の49・1%だった。「子供の貧困対策」は15・4%。もっとも、これらの課題克服に向けて打つべき施策は重複しており、総合的な取り組みが欠かせない。

 「子供の貧困」は、将来の長野を担う人材不足が深刻化する懸念を増幅させる。手をこまねいていては、「負の連鎖」は断ち切れない。その場しのぎではなく、息の長い対策も求められている。 (この企画は太田浩信が担当しました)

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