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「国際書展」会長賞・大久恵華さん(64) 書は自分を支えるもの 神奈川

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 「母が書かせてくれたんだと思います」。受賞を喜ぶ大久恵華さんから、思わぬ言葉が飛び出した。

 今年3月、雪が残る山形の田舎道。高齢者施設にいる90歳の母を月に1度、訪ねての帰りだった。ハンドルを握る大久さんの目の前を突然、1羽の白鳥が横切り、飛んでいった。

 翼を広げた姿はことのほか大きく、同乗の妹も思わず驚きの声を上げた。空は青く晴れ、雪を抱いた遠くの山々も、くっきりと見えていた。

 〈白鳥 舞う〉…。その一瞬を切り取り、横浜に戻るや、詩につづってみた。

 〈遠くに見える銀嶺の山々/抜けるような青空/大きな翼を広げ 白鳥舞う ふるさとの空〉

 光景を思い出し、感動を反復させながら、書にした。まず〈白鳥〉の〈白〉。向きを右にやや寝かせた。「その入りがよかったのかな。こっち(=白鳥)をスッと書き、〈舞う〉でボーンと重心を上にして入れたことで、うまく流れが出た。新しさが出せたかな」

 詩文書というジャンルの書に取り組んでいる。題材は近代以降の詩や自作の言葉など。「一般の方に読んでいただける書」だ。

 郷里の山形県で国語教師になったとき、好きだった書道を専門分野にした。結婚して5年目に上京。教職は続けたが、親の介護が始まり、20年で教員生活にピリオド。書は以後も、書成会同人として継続した。

 「私にとって、書は、いいときもそうでないときも、そばにあるもの。自分を支えるもの」。書道歴はとうに40年を超えた。

 「『大きな賞をいただくことになったのよ』と母に知らせたら、『あら本当なの? よかったわね』と。母もせっかく長生きできていることだし、『いいこと』があった方がいいですよね」と、頬を緩めた。 (山根聡)

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