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【黄門かわら版】「跡継ぎは作らない」

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 「跡継ぎは作らない。店を継ぐ者がかわいそう」

 水戸の目抜き通りで果物屋を長く営む主人がつぶやいた。今どき、1杯100円のバナナジュースが店の名物だ。「体力の続く限り…」。欲はなく、もうけは度外視のようだ。

 この主人同様、跡継ぎを作ろうとしない自営業者は近隣に少なくないという。近くの紅茶専門店は昨年暮れ、ファンに惜しまれながら店を閉めた。閑古鳥が鳴く大通り沿いに「テナント募集」の張り紙がやけに目立つ。

 ある日、職場の書棚を整理していると、ホコリがかぶった水戸市の住宅地図が出てきた。昭和42年発行。市内最大の歓楽街、大工町周辺には飲食店やバー、スナックが軒を連ね、映画館やビリヤード場もあった。半世紀前の活気に満ちた町並みがよみがえる。

 県都・水戸の「黄金時代」を記憶する者は「水戸駅前から続く大通りには群衆であふれ、まっすぐに歩けないほど活気があった」と感慨深げに回想する。市民のだれもが「あの日」に戻れないことを知っている。古地図にも登場する老舗の料亭は“格式”をかなぐり捨てるかのように安価なコース料理を提供し、庶民との距離を縮めている。

 茨城の人口減と超高齢化への進行は目に余るほど深刻だ。安全と信頼の茨城ブランドを構築、浸透させるには、まずは「生産年齢人口」の確保が急がれる。

 いや待てよ、それこそが難題なのだ。(日出間和貴)

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