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旧優生保護法 強制不妊、県文書に78件記載 26件「手術受けた可能性高い」 静岡

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旧優生保護法 強制不妊、県文書に78件記載 26件「手術受けた可能性高い」 静岡

 旧優生保護法(昭和23~平成8年)下で障害者らが強制的に不妊手術を受けさせられた問題で、県は19日、県に残る関連資料を全て調査したところ「優生手術」などと記された資料が78件見つかったと発表した。このうち実際に不妊手術を受けたとみられるのは26件、手術を受けたかどうか判別できないのは52件だった。

 県は県健康福祉部とその出先機関、県教育委員会に残る全ての資料4万5468件を対象に、今年5~6月にかけて調査を行った。その結果「優生手術」との記載が70件、不妊手術の方法である「卵管結紮(けっさつ)術」などの記載が8件見つかった。

 実際に手術が行われたと考えられる26件のうち、20件については本人や家族からの聞き取り記録や施設入所中の記録などに「優生手術」と記されていた。残る6件の資料には、より具体的な「卵管結紮術」などの手術に関する記載が認められた。県は「いずれも医療機関のカルテのような手術の実施を裏付ける記録ではないが、内容から判断すれば実際に手術を受けた可能性が高い」としている。

 県は同時に、厚生労働省の指示を受けて、手術を受けた個人が特定できる資料の有無についても調査した。その結果、別の資料に紛れて1件の「優生手術適否決定通知書」が発見されたものの、審査結果が「否」だったことから手術を受けた個人の特定には至らなかった。

 本県では個人の特定につながりやすい手術台帳が作成された形跡がなく、ほとんどの関係資料が保存期間超過で破棄されているため、個人を特定する作業は難航している。県は4月下旬、県内約3千の全医療機関や障害者入所施設に関係資料を保存するよう依頼済み。担当者は「県としてできる限りの調査は行った。今後は医療機関のカルテなど民間の記録を調べることになる」と話しており、被害の救済に向けた個人の特定を急いでいる。

 県が歴史的公文書として保存している県衛生年報によれば、昭和24~53年に本人の同意なく実施されたとみられる「審査を要する優生手術」が746件あったとしているが、今回の調査では裏付ける資料は見つからなかった。一方、厚生労働省に残る統計によれば、同期間に県内で行われたとみられる強制不妊手術は530件とされている。

 県は専用電話((電)054・221・3157)を設けて本人や家族からの相談を受け付けているほか、今後国に対して速やかな救済措置を要望することにしている。(田中万紀)