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【にいがた活力企業】箸製造・販売のマルナオ(三条市)

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 ■12カ国に輸出 活動領域を拡大

 新潟県の企業は国内や県内との取引が多い“内向き”なイメージが強いが、“外向き”に情報を発信し、活動領域を着実に広げている企業もある。ニッチ分野で高いシェアを持ち、自社ブランドを強化していく前向きな動きも随所でみられる。黒檀(こくたん)や紫檀(したん)など硬質な木材を加工した箸を製造・販売するマルナオ(三条市、福田隆宏社長)もそんな会社の一つだ。

 ◆木工道具が起源

 昭和9年に仏壇彫刻師として独立した初代社長、福田直悦氏は木工機械を導入し、木材に墨で目印をつける「墨坪車」の製造を始め、木工会社を創業。40年に福田木工所として法人化し、大工道具を主に製作していた。2代目の福田建男氏が社長に就任した後、平成16年7月に三条市を襲った集中豪雨で工場が浸水。機械50台ほどが水没してしまう。ところが、これがきっかけで、水没した機械をすべて入れ替え、転機を迎える。

 「木造住宅の着工が伸び悩む中で、古典的な大工道具は踊り場に差し掛かっている。もっと幅広い層で使われる木工品を新たに作りたい」。当時、2代目を補佐していた福田社長は箸の製作を着想、事業化。18年5月には事業を引き継ぎ、東京の展示会に出展するなど果敢に攻めた結果、21年には百貨店との契約を取り付けた。独特な質感を持った箸は、伝統的な日本の食器の販売が低迷する中で、久々のヒット商品となった。

 現在では、「にいがた産業創造機構」(NICO)のプロジェクト「百年物語」へ参加、日本貿易振興機構(ジェトロ)の支援を得てパリの見本市に自社ブースで連続出展を果たすまでになっている。マルナオは現在12カ国にスプーン、カップなどを輸出し、全売り上げの1割を海外で稼ぐ。

 ◆オープン工場も

 「弥彦山が一望できて、周囲には広大な越後平野が広がり、森林に囲まれた立地が気に入った」(福田社長)と三条市矢田に購入した土地に「ファクトリーショップ」をオープンした。

 従来の工場が手狭だったこともあるが、バイヤーや顧客が工場見学に来ると、職人が緊張で集中力が途切れて仕事にならないため、オープンファクトリーとし、常時製作現場を見学できるような構造にした。

 「いつでもお客さんが来るので、現在は職人のモチベーションは安定したうえ、適度な緊張感も保たれている」

 工場見学には小学生らも団体で訪れるが、仕事に興味を持ってもらおうと、ロールプレーイングゲーム(RPG)風のスタンプラリーを設置するほか、「燕三条 工場(こうば)の祭典」期間中には制服ファッションショーの「作業着RUNWAY」を開催。29年度の来場者は1万3千人を超え、活況が続いている。

 ◆内向き志向打破

 東京税関新潟税関支署が発表した新潟税関支署管内貿易概況速報(30年5月分)によると、管内の輸出総額は前年同月比15・9%増加し、8カ月連続で輸出が伸びている。“内向き”志向を打破し、県内企業のマインドが“外向き”になってきている表れかもしれない。

 ものづくりの伝統を守り、卓越した技術を駆使しながら、積極的にチャレンジするマルナオ。福田社長は「東京直営店出店やパリでギャラリーを借りたプロモーションを計画している。箸のブランドをさらに高めるための設備投資を行っていきたい」と意気軒高だ。(東京商工リサーチ新潟支店長 内山裕次)

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 「低迷」といわれて久しい新潟経済界。しかし、発想力や行動力を発揮して活躍する企業も少なくない。県内企業の動向に目を光らせる信用調査会社の新潟支店長が、活力あふれる企業の取り組みを紹介する。

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【プロフィル】内山裕次

 うちやま・ひろつぐ 昭和49年、千葉県生まれ。埼玉大卒。平成15年東京商工リサーチ入社。東京支社調査部を経て28年6月から新潟支店長。

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