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【高校野球静岡大会】磐田東・森口千聡投手 “満身創痍”のエース、入魂の一球

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【高校野球静岡大会】
磐田東・森口千聡投手 “満身創痍”のエース、入魂の一球

 3-4と迫った七回。5番手で“ガラスのエース”がマウンドに上がった。浜松開誠館打線の猛威に最大4点まで開いた点差を詰めただけに、ベンチの雰囲気は高ぶっていた。

 「エースなら何とかしなければ」。気がはやったか。先頭打者への2球目。浮いたチェンジアップをたたかれ、中越えの三塁打。次打者の犠飛で1点を失うと、八回にも1点を奪われた。「終盤勝負と言われたが…」とうつむいた。

 実は痛み止めを打ってのマウンドだった。昨秋の大会後に肩の故障が悪化。悪いことに回復の兆しが見え始めた3月には走り込みの最中に腰に痛みが出た。投げられなくても腐ることなく、走り込む勤勉な性格が裏目に出た。春の大会は出場を見送り、リハビリに専念。登板にこぎつけたのは6月中旬だった。

 県立高校を夏の甲子園に2度導いた山内克之監督に「持っているものはプロ級」と言わしめる逸材だが、球威は本来からほど遠く、実力を発揮しきれなかった。

 ただ、ほんの少しだけ実力の片鱗をのぞかせた。八回2死走者なしで、1ボール2ストライクから投じた外角低めの直球。肩の痛みが軽いときにブルペンで打者を立たせて磨いてきた自慢の球で空振り三振に切って取った。内角を指示する小林捕手のサインに首を振ってまでこだわった。小林は「ニヤッとして首を振った。捕っていて気持ちがこもっていた」と評した。

 不本意な形で高校最後のマウンドは終わった。だが、目指すは「真っすぐと分かっていても打たれないピッチャー」。大学での“大成”を期す。 (石原颯)