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九州豪雨から1年 不明の妻待つ朝倉・田中さん、集中捜索に毎月参加 「最後まで見届けたい」

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 長年連れ添った妻の帰りを待ち続けている。九州北部豪雨の発生から1年が過ぎた。福岡県朝倉市の田中耕起さん(54)は、妻の加奈恵さん(64)が行方不明のままだ。「母ちゃんが見つかるかは分からないが、最後まで見届けてあげたい」。市や消防などが毎月、実施する行方不明者の集中捜索に立ち会い、望みを託す。

 夫婦で暮らした山間集落は豪雨で生じた大量の土砂に襲われた。加奈恵さんは自宅にとどまり、家ごと濁流にのまれたとみられる。

 「妻を守り切れなかった」。耕起さんは仕事場の棚に飾った1枚の写真に目を向ける。春先の梅の前で、加奈恵さんがほほえんでいた。

 10歳離れた姉さん女房で、3人の子供を立派に育て上げた。3年前に受けた手術の影響で足に痛みの残る耕起さんを献身的に支えてくれた。「そばにいるのが当然だ、と思っていた」と耕起さんは語る。

 6月6日、自宅から約800メートル離れた川沿いでつぶれた乗用車が見つかった。加奈恵さんの車だった。

 初めて見つかったわずかな手がかりだった。「うれしかった」という。

 集落は被災者生活再建支援法に基づく「長期避難世帯」になる見通しだ。安全が確保されるまでこの先、数年間は住めなくなる。

 故郷に戻ることができたら、自宅を再建するつもりだ。建設業だった経験を生かし、自ら図面を描いた。

 妻を迎える場所をつくると心に決めた。

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