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長崎の男児誘拐殺人15年…命の尊さ伝える地蔵堂 市内の井村さん夫婦が設置

少年による男児誘拐殺人から15年。地蔵堂に手を合わせる井村啓造さん
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 長崎市で平成15年7月、4歳の男児が12歳の中1少年に誘拐、殺害された事件から15年。現場のそばにある小さな地蔵堂に手を合わせたり、お供えをしたりする人が絶えない。市内の無職、井村啓造さん(71)が、慰霊のために設けた。市民にとって、命の尊さを考える場所の一つであり続けている。

 事件は7月1日に起きた。長崎家裁決定などによると、12歳だった中1少年が市内の大型家電量販店で男児を誘拐した後、約4キロ先にある市中心部の立体駐車場ビルへ連れて行き、屋上から突き落として殺害した。遺体が見つかったのは、翌2日だった。

 小学校を卒業したばかりの子が殺人の非行事実で補導されたことに、社会は大きな衝撃を受けた。新聞やテレビの報道を、井村さんも痛ましい気持ちで見聞きしていた。

 その年の8月。5歳だった愛犬が、世を去った。子供はおらず、ずっと妻と2人暮らし。「人間と犬の命を同列には扱えない」と分かっていながらも、男児と愛犬が重なった。遺族らの心情をおもんぱかると、居ても立ってもいられなかった。

 バイクで市内の石材店を巡り、地蔵を手に入れた。生きていれば未来へ羽ばたいたであろう男児に思いをはせて「大空地蔵」と名付け、現場脇の細い歩道にそっと置いた。「日差しにさらされて、かわいそうね」。妻のつぶやきを機に15年秋、廃材で堂を建てた。

 堂は約10年前に改修し、妻と清掃を続けている。匿名で遺族にも無断で設置したことに、後ろめたさがあった。21年の命日が来る前に報道関係者を介して遺族側に経緯を明かすと、謝意を記した手紙が届いた。胸のつかえが少し、取れた。

 花に缶ジュース、おもちゃ類…。大空地蔵は命日の前後になると、たくさんのお供え物に囲まれる。「ただの事件現場にしたくない。手を合わせて何かを感じることが、男児への一番の供養になると思う」

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