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再エネ発電の出力抑制秋にも不可避九州の需給バランスに「黄信号」

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 太陽光発電をはじめ、再生可能エネルギーの発電量が増加の一途をたどる九州で、電力の需給バランス維持に黄信号がともる。離島では増えすぎた発電量を吸収できず、再エネの発電を抑制する出力制御が日常化した。この秋には、九州本土で出力制御が不可避な状況だ。野放図な再エネ拡大のツケが、表面化する。 (中村雅和)

 大型連休中の5月3日、絶好の行楽日和となり、各地の観光地はにぎわった。だがこの日、九州本土の電力需給バランスは、崖っぷちだった。

 午後1時、太陽光による発電量は621万キロワットに上った。同時刻の電力需要(約770万キロワット)の8割に達する勢いだった。

 九州電力は慌てた。

 電気は、需要に対して供給が多すぎても、少なすぎても問題が生じるからだ。バランスが大きく崩れれば、大規模停電という最悪の事態を引き起こす。

 九電の中央給電指令所から、需給調整の指令が飛んだ。揚水発電所は、電気を使って水を最大限くみ上げ始めた。調整が比較的容易なLNG(液化天然ガス)火力発電所では、出力を最低レベルに落とした。

 結果として事なきを得たが、中央給電指令所の職員が肝を冷やすに十分な事態だった。

 大型火力発電所は家庭のコンロとは違う。一度、火を落とせば、再起動や発電再開まで、短くとも数時間、長ければ数日かかる。火力を停止した後に、曇りや雨で太陽光の出力が急減すれば、今度は電気が不足する。

 太陽光の拡大に合わせ、調整はますます難しくなる。

                × × ×

 経済産業省のルールでは、九電など既存電力会社は、いざという際には、再エネ業者に対して送電を中止するよう指示することができる。

 こうした出力制御は、離島ですでに現実化している。本土の送電網から切り離され、調整の余地が小さいからだ。

 九電は2日、鹿児島・種子島で、再エネの出力制御が、4~6月の3カ月間で計31回あったと発表した。

 昨年は4、5月で計17回だった。6月はなかった。

 島内の再エネ出力は、今年3月末で計1万4141キロワットだった。1年前と比べ18%増加した。島内の昼間の電力需要最少値(1万4500キロワット)に迫る。

 「需要のほぼ全量を再エネでまかなえる」などと、無邪気に喜ぶことはできない。

 曇天・雨天や夜間、太陽光は役に立たない。半面、春秋の天候が良く、それでいてエアコン需要の小さな時期は、発電量が増えすぎる。

 九電は島内に計9基(出力計4万500キロワット)のディーゼル発電設備を保有する。ディーゼル発電は、出力が50%を下回ると、不完全燃焼による故障や環境への悪影響が生じやすくなるという。好天時の下げ幅には、限度がある。

 結局、種子島では27年度以降、再エネの出力制御が続発した。回数は年々増加し、29年度は前年度の3倍に当たる51回だった。

                × × ×

 平成23年に導入された再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の下、数多くの事業者が再エネに参入した。

 九電は再エネの接続可能量を、九州本土で計817万キロワットと設定する。問題なく再エネを受け入れられる上限だ。

 今年4月末には、可能量の97%に当たる791万キロワット分が接続した。さらに715万キロワット分の接続申し込みがある。

 経済産業省が定めたルールでは、可能量を超えた分の再エネ事業者は、無制限・無補償で九電からの出力制御に応じなければならない。

 九電送配電カンパニー運用計画グループの図師安男課長は「九州本土でも、この秋には制御を実施することになるだろう」と語った。

 出力制御に対応するには、専門の技術者や設備も必要となる。投資感覚で参入した事業者や、小規模事業者では、対応に遅れが生じる可能性もある。

 九電は、悪質な事業者には、契約解除も辞さない姿勢で、対応を求める。

 川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)、玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)が順次再稼働し、九州での電力「不足」の不安は解消した。

 半面、FITによる野放図な再エネ増加で、電力「過剰」の危険性が高まる。この長期的視点を欠いたFITを支えるため、家庭が負担する金額は、電気料金の1割に達している。

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