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エンタメで心の復興 仙台「魅知国定席 花座」開館3カ月

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 東北唯一の常設寄席として仙台市青葉区に誕生した「魅知国(みちのく)定席 花座」が1日、開館から3カ月となった。多くのファンに支えられて好スタートを切り、新しい「憩いの場」として親しまれだしている。一方、28日からは仙台で17年ぶりとなる劇団四季の代表作、ミュージカル「オペラ座の怪人」の一般チケット販売も始まる。エンターテインメントの風が、にぎわいをもたらそうとしている。

 「土曜のこの時間にね。これだけお客さんが入れば立派なもんですよ」

 午後6時半に始まった「花座」の公演。定員40人の客席は7、8割の入りで、高座に上がった落語の師匠から“お褒めの言葉”をいただいた。客層は中高年の「お一人様」が目立つものの、中学生ぐらいの子供と一緒の家族連れの姿も。夜の部はゆったり見られたが、先に行われた午後2時からの公演は満席だった。

 落語芸術協会仙台事務所長で席亭(寄席の経営者)の白津守康さん(56)は「シニア層にとっては、買い物以外に行く所ができた。あと、着物で出かけたいという方にも足を運んでいただいている」と話す。また、若いカップルのデートスポットにもなりつつあるという。

 4月のオープン時には多数のマスコミに取り上げあられ、ちょっとしたブームに。ただ、本当の実力が試されるのはこれからで「ファン拡大のためにいろんな作戦を練っていく」と白津さんは既に、次の一手を見据えている。

 「花座」を開く前、平成22年6月から会場を借りて月に1度、仙台市内で寄席を催していた。翌年3月、東日本大震災が起こる。寄席どころではないと思っていたが、避難所にいるという人から「4月のチケットを持っているが、やりますか」との電話が入った。寄席を、落語を楽しみに待っている人たちがいる。常設寄席の設置に向けて白津さんの背中を押した出来事のひとつだ。

 被災地を笑いで元気に、との願いに加えて「東北から新しい文化を発信していきたい」(白津さん)との思いも強い。そのために、東北出身の若手落語家ら芸人を一人でも多く育てていくつもりだ。東北が持っている新しい魅力、パワー。「花座」で沸き上がる笑いに乗って、全国へ舞い降りる日も近いかもしれない。

 日本の伝統芸能だけでなく、ミュージカルも話題になっている。13年に仙台で公演された劇団四季の「オペラ座の怪人」が、10月に戻ってくるからだ。

 今回の仙台公演にあたり劇団四季の吉田智誉樹(ちよき)社長は、産経新聞のメールでのインタビューに対して「この作品の感動が、復興への道のりを歩まれている被災地の皆様の希望の光となることを願っています」との回答を寄せた。

 劇団四季は震災のあった年の7月25日~8月26日まで岩手、宮城、福島3県の沿岸部13都市で子供たちを招き無料公演を実施した。公演数は27回で招待者は1万3191人。夏休みに入った公立学校の体育館を会場として使用した。この活動は都市を変えて翌24年も続ける。

 あの時、体育館で劇団四季のミュージカルを見た小中学生が、17年ぶりとなる「オペラ座の怪人」を心待ちにしているかもしれない。

 落語で笑い、ミュージカルで感動する。そんなどこにでもある日常の楽しみが、「心の復興」につながると思いたい。 (東北総局長 広瀬典孝)

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