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富士山、世界文化遺産登録5年 「日本の象徴」国境超え人々魅了 静岡  

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 世界文化遺産「富士山」(山梨、静岡)は22日、登録5周年を迎える。自然遺産ではなく、信仰と芸術の山という文化的価値をアピールした戦略が奏功。景勝地・三保松原が事前審査で除外勧告を受けながらも、その後の巻き返しで逆転登録を勝ち取ったことも話題となった。「日本の象徴」から「世界の宝」に昇華し、国境を超えて人々を魅了し続ける名峰の今を探った。

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 ◆観光堅調 外国人が下支え

 外国人観光客に人気の東京や京都、大阪を結ぶ「ゴールデンルート」の中間にある富士山。世界文化遺産登録による知名度アップと全国的な訪日客の急増が追い風となり多くの外国人が訪れ、観光需要は堅調だ。だが登録決定から5年を迎え、より消費額の多い宿泊客数は落ち着きつつある。

 富士山の遺産登録が決まった平成25年、訪日客が初めて1千万人を超えた。静岡県によると、日本人も含めた同県への観光客数は24年度から5年連続で増えており、28年度は延べ1億5千万人に達した。県は「外国人客の増加が下支えした」とみる。ただ宿泊客に限ると、同年度は5年ぶりに減少した。

 山梨県も同様で、観光客は24年から毎年増えてきたが、29年の宿泊客数は県推計で前年比9・2%減だった。県は観光シーズンの天候不良が要因とするが、静岡県の担当者は「団体から個人旅行にシフトした訪日客がゴールデンルート以外に流れ、恩恵を受けづらくなっている」と分析する。

 登録に際して指摘された景観問題の解決も、時間がかかりそうだ。静岡市清水区にある三保松原。全長約7キロの海岸から松林越しに富士山を望める景勝地として古くから親しまれてきた。しかし、除外勧告した国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関は、消波ブロックが景観を損ねていることなども問題視した。

 静岡県は、海中に突堤を設け、計4カ所のうち2カ所のブロックを36年ごろまでに撤去する方針。突堤はL字形で、最終的には、くぼみにたまった砂に覆われ突堤が目立たなくなると期待される。だが、担当者は「自然条件は絶えず変わる。慎重に進めなければならない」と話す。

 ◆環境保全へ対策重ねる

 富士山は平成25年6月22日、カンボジアで開かれていたユネスコの世界遺産委員会で登録が決まった。委員会決議は、長い山岳信仰の伝統に加え、葛飾北斎や歌川広重の浮世絵に描かれた姿が西洋芸術にもたらした文化的な影響を「衝撃」と言い表し、称賛。一方で、山中湖など一部の構成資産が「観光と開発の圧力に直面している」と強い懸念も示した。

 1990年代、富士山は日本を代表する「山」として世界自然遺産への登録を目指す運動が盛り上がった。だが、政府は平成15年、ごみによる環境汚染などを理由として、ユネスコに推薦する候補には選ばなかった。山梨、静岡両県などの地元は次に、信仰や芸術の側面に着目。文化遺産に路線変更し、登録に近づいた。

 ところが登録審査の直前、試練が襲った。ユネスコ諮問機関が山から45キロ離れた三保松原を「山の一部とみなせない」として、除外を勧告。一括登録が危ぶまれる中、当時の近藤誠一文化庁長官らが各国関係者を説得する異例のロビー活動を展開し「奇跡の逆転」(同庁幹部)につなげた。

 ただ世界遺産委は、登山者20万~30万人が毎年押し寄せる現状を「神聖な雰囲気を阻害する方向に作用」と指摘。通常は6年ごとの提出としている遺産保全の報告書を3年ごとにするよう求め、監視を強めている。

 両県は登録決定後、環境保護や安全対策に充てるため、原則1人1千円の入山料の任意徴収を開始。登山者が持ち込むごみの減量といった環境改善方針を28年にユネスコへ報告した。今年12月までには、1日当たりの望ましい登山者数の目安を盛り込んで、新たな報告書を提出する。貴重な遺産を将来世代に確実に引き継ぐために、たゆまぬ努力と工夫が求められている。

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