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【ちば人物記】初の本格的インドネシア語辞書編集・舟田京子さん(64)

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 ■「使いやすさ」に心血注ぐ

 今年2月に出版された日本で初となる本格的なインドネシア語の辞書「プログレッシブ インドネシア語辞典」(小学館)。その編集作業で中心となったのが神田外語大学インドネシア語専攻の客員教授、舟田京子さん(64)だ。約2億6千万人の人口を抱え、年5%前後の経済成長が続き、日系企業の進出も相次ぐ重要な国との橋渡し役を担っている。

 「辞書を出すことは言語学者として大変名誉なこと」と舟田さん。インドネシア語はインドネシアの公用語で、日本とは経済分野以外でも交流が増える中、インドネシア語学習の需要は学生だけでなく、ビジネスマンにも広がっている。舟田さんも「ビジネスを行う上で必須の言語となる」と将来を推測する。

 一方で、英語や中国語、スペイン語などと比べて、日本人がインドネシア語を学ぶ際に大きなネックだったのが辞書の存在だ。従来からあるインドネシア語の辞書は、インドネシアから輸入した辞書を簡略的に和訳したものしかなく、他の外国語の一般的な辞書ほど利便性がなく、そうした環境が日本において、初心者がインドネシア語を学ぶことを一層難しくしていた。

 また、平成25年春、舟田さんに声がかかった際に提示された辞書編集の期限は5年。「辞書は研究者が一生をかけて一冊作れるかどうか、というようなもの。5年は非常に短い」と最初は驚いたという。だが、「インドネシア語の学習や普及のためにも一肌脱ぎたい」という思いから引き受け、辞書づくりをスタートさせた。

 編集には舟田さんのほかに2人の大学教授、さらに約30人の日本人とインドネシア人の研究者も翻訳作業のスタッフとして参加。こだわったのは「使いやすい一般的な辞書」だ。

 従来の辞書にはなかった単語への品詞の記載や、接頭辞がついたままでも単語を引けるようにするなど、初心者にも使いやすいよう工夫を凝らした。仕事でインドネシアへ行くビジネスマンらも使えるようにと日常語、時事語、ビジネス語を含めたり、約2万8千の実用的な用例を収録した。「多くの話し合いを重ねて、どういう単語を入れ、どうやって説明するかを一つ一つ決めていった。その結果、5年という短い時間で作り上げることができた」と振り返る。

 辞書は出版後、利用者の学生らから「使いやすい」「用例が分かりやすい」と評価する声が相次いだ。早くも紙の辞書だけでなく、電子書籍化の話も上がってきているという。5年の苦労が報われ、「全員の努力の集大成」と話す。

 ただ、辞書は1回出版したら終わりではなく、時代や社会の変化によって、使われる言葉が変わるなどするため、まだまだ改訂する余地があるという。「今後も改訂を繰り返して、完璧なものにしていきたい」と将来を見据える。

 興味を持ち、踏み出したインドネシア語の研究者として、辞書の出版は大きな節目となったが、これからも日本におけるインドネシア語の学習を情熱を持って手助けし、両国の関係を深めるのに貢献していく。(長谷裕太)

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【プロフィル】ふなだ・きょうこ

 昭和28年、東京都出身。東京外国語大学在学時にインドネシア語と出合い、以降研究者の道を歩む。インドネシアにまつわる著書を多数執筆。趣味は旅行で、さまざまな文化や言語に触れるため、研究の傍ら、今も世界を飛び回っている。

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