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【W杯開幕 県勢復活の鍵】(4)代表に長谷部と大島 保った面目、にじむ危機感

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 14日に開幕したサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会。日本代表は19日にコロンビアとの初戦を迎える。6大会連続6度目の出場となる日本にとって1次リーグの突破は最大の課題で、そのために監督の戦術を具現化する選手の選考は重要な部分だ。「サッカー王国」と称された静岡からは初出場だった1998年に代表選手23人のうち半数近くを占め、面目躍如といった印象だったが、今回は2選手にとどまった。優秀な選手が全国に拡散し、県内関係者からは4年後のカタールW杯で選出が「0」になるのではないかと危機感がにじむ。

 ◆減少傾向「当然の帰結」

 今回で自身3度目のW杯となる藤枝東高出身の長谷部誠(フランクフルト)は14日、「いよいよだなという感じがする」と率直な思いを口にした。一方、初選出となった静岡学園高出身の大島僚太(川崎)は親善試合で腰を痛めて不安を残し「気をつけながらやります」と慎重に調整を続ける。ただ、サッカーで最高の祭典だけに高揚感は否めない。その舞台に今後、静岡から代表選手を送り出せるのか。

 日本が初出場した98年フランスW杯には県内出身の川口能活、小野伸二、中山雅史、名波浩、伊東輝悦ら9人が名前を連ねた。2002年日韓W杯には市川大祐ら6人が選出されたが、06年ドイツ、10年南アフリカW杯ではともに4人と逓減傾向だった。そして、今回はついに出身者2人に。しかも地元Jクラブの磐田、清水からは1人も代表入りしなかった。

 かつて「サッカー王国」と言われた静岡としては寂しい限りだ。ただ、静岡大教育学部の杉山卓也准教授(スポーツ科学など)は「当然のことでしょう」と話す。今でも県内のサッカー競技人口は約4万人(日本サッカー協会調べ)と全国的にも少なくないが、地域密着を提言するJリーグのジュニアやユースなど下部の育成組織が全国的に活発に活動し、実力を備えた選手が分散。今やJ1からJ3のクラブは全国に54ある。杉山准教授は「優秀な選手がいわゆる“大国”といわれた静岡に必ずしも集中するわけではない」と分析する。また、県内のサッカー関係者の中には「少なくなったのは当然の帰結」と手厳しい見方も示す。

 ◆次世代担う選手少なく

 実際、例年の12~1月に開催される全国高校サッカー選手権の最近5年の優勝校を見ると、群馬、青森、福岡、石川、富山と全国に広がっている。静岡は、優勝4回を誇る藤枝東が07年に準優勝したが、優勝となると、1995年の静岡学園までさかのぼらなければならない。

 現在、長谷部は34歳。4年後の次回、2022年カタールW杯時には38歳を迎えている。代表に呼ばれるには厳しい年齢にさしかかる。大島は29歳。まだ選手として脂の乗り切った時期だろうが、けがが多いのが気がかりだ。A代表入りを見据えるU-23(23歳以下)の世代では、16年リオデジャネイロ五輪の世代で代表入りした県内出身は大島だけ。次世代を担うとされる選手も少ないようだ。

 杉山准教授はいう。「代表選手が2人とはいえ、選出されたことでサッカー王国の面目が保たれたのではないか」。ただ、安穏としてはいられない現状が目の前に突きつけられている。 =おわり

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