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特殊詐欺対策いたちごっこ 埼玉で後絶たぬ被害

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特殊詐欺対策いたちごっこ 埼玉で後絶たぬ被害

 高齢者を狙ったオレオレ詐欺など「特殊詐欺」被害が県内でも後を絶たない。平成29年の認知件数は1千件を突破し、今年1~4月も前年同期比63件増の438件に達している。特に警察官や銀行協会職員などを装いキャッシュカードをだまし取る手口が増えている。県警は対策を講じるが、犯行グループとのいたちごっこが続いている。 (飯嶋彩希)

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 「まさか私がだまされるなんて…」。特殊詐欺の被害者は、こう口をそろえる。内閣府の特殊詐欺に関する調査によると「だまされない自信がある」との回答は60代以上で50%を超え、高齢になるほど割合が高くなる傾向だった。だが、皮肉にも「自信がある人ほどだまされやすい」(県警)のが実情だ。

 特殊詐欺の傾向をみると、平成15年以降、「オレだよ、オレ。ちょっと調子悪くて声が変なんだけどさ」などと親族をかたって現金を振り込ませるオレオレ詐欺が目立ち、20年は認知件数が過去最高の1524件に達した。

 これに危機感を募らせた県警は、被害者が現金を振り込むために訪れる銀行などのATMに人員を配置し、警戒を強めた。県警が高齢者宅を戸別訪問して注意を呼びかけたり、ATMの利用限度額が大幅に引き下げられたりして、翌21年は約3分の1の510件まで激減した。

 ◆“手渡し”横行

 ところが、22年以降はまたも増加傾向に転じてしまった。最近は自治体職員、銀行協会職員、警察官などをかたる複数の登場人物が高齢者に電話。被害者宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取る「劇場型」の手渡し詐欺が横行している。県警のほか、銀行やコンビニエンスストアも現金を振り込んだりするATMへの警戒を強めたため、高齢者から直接、カードをだまし取る手口に切り替えたとみられる。

 傾向としては自治体職員を装い「医療費の還付金がある。今日なら手続きできる」と電話で嘘をつき、その後、被害者宅にスーツ姿の銀行職員がキャッシュカードを受け取る-というパターン。さらに「キャッシュカードやクレジットカードが不正に利用されている」などと不安をあおり、カードを受け取る-という手口も多い。

 さいたま市の女性(72)が12日、少年の嘘の電話を信じたように見せかける「だまされたふり作戦」で、浦和署と協力して逮捕したケースは珍しく、電話をかける役の「かけ子」の巧妙な語り口調で、高齢者は信じ込んでしまいがちだという。捜査関係者は「『かけ子』を別の犯行グループに派遣し、話術向上の訓練をさせている」と明かす。

 ◆低い認知度

 内閣府の調査ではオレオレ詐欺の認知度は98%と高いが、手渡し詐欺の認知度は62%。「オレオレ詐欺は知っていたが…」と漏らす県内の被害者もいる。

 県警特殊詐欺対策室は特殊詐欺の傾向について「最近は誰でもできる手口になっている。若者がアルバイト感覚で犯行に関与してしまうケースが多い」と話している。