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医療ビッグデータ活用の「米山構想」先行き不透明 新知事「費用対効果見極め」 新潟

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 花角英世知事の就任に伴い、医師でもある前知事の米山隆一氏が打ち出した「医療ビッグデータ構想」の行方が関心を集めている。県の今年度予算には計画策定の経費3341万円が計上され、実現に向けて既に動き出してはいるものの、花角知事は費用対効果を「見極める必要もある」と指摘。前知事の肝いりの政策が日の目を見るかは、県政が抱える課題の優先度を新知事がどう判断するかにかかってきそうだ。(市川雄二、村山雅弥)

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 ◆「試みは全く賛成」

 構想は、県立病院などの患者の電子カルテに記録された検査結果や診断リポート、診療報酬の明細書などをデータベース化して解析し、県民の健康増進や治療法の開発、医師の研究環境の改善につなげるのが狙い。米山氏は検査や薬の処方の重複を防ぎ、医療サービスの費用や時間を抑えられる効果を生む可能性もあると説明し、新潟大と連携して取り組むとしていた。

 花角知事は12日の就任会見で「さまざまなビッグデータを活用して経済・社会をより良いものにしていく試みは全く賛成」と構想の意義を認めた。その上で「コストと狙う効果(の比較)でうまくいくのかという見極めも当然必要」と述べ、構想の中止も視野に入れる考えをにじませた。

 米山氏は在任中の4月に、構想の具体化を図るプロジェクトチームのリーダーとして健康情報管理監のポストを新設し、慶応大医学部の宮田裕章教授を任命した。県福祉保健部の担当者は「予算で認められた作業を粛々と進めるが、節目ごとに新知事の判断を仰ぐことになる」と説明。政府もビッグデータの活用に積極的なことから「国の動きに乗り遅れないようにしたい」としている。

 データの収集に欠かせない電子カルテは、県立15病院のうち9病院が導入済み。平成32年度までに加茂病院(加茂市)や精神医療センター(長岡市)など6病院も取り入れる予定で、今後拡大する方向にある。

 18年に導入した県立新発田病院(新発田市)の塚田芳久院長(65)は「記録される診療情報量は私の感覚では導入前の100倍になった」と話す。同病院の医師は研修医を含めて100人規模にのぼり、看護師も500人を超える大所帯だが、電子化によって全てのカルテが持ち場で閲覧できるようになり、業務の効率がアップ。より正確で豊富な情報を基に医療サービスの質も高まったという。

 ◆原発などの課題山積

 電子カルテ用のパソコンは診察室だけでなく医局の廊下にも並ぶ。入院患者の紹介状を打ち込んでいた呼吸器内科の田辺嘉也医師(50)は「打ち直しも簡単で作成しやすい。手書きだと『読めない』と言われてストレスだった」と使い勝手の良さを強調する。

 ビッグデータ構想に関し、塚田院長は「活用方法に左右されるが、疫学的な価値は容易に想像できる」と指摘し、病気の原因や予防などの研究分野でメリットは大きいと見る。米山氏は在任中、県議会の答弁で「新たな手法とこれまでの取り組みを合わせることで飛躍的な効果が期待できる」としていたが、原発や人口減少への対応など県政の課題が山積する中で、花角知事が構想実現にゴーサインを出すかは不透明だ。

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