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【新潟知事選】記者座談会(下)ネット上で不毛な「落選運動」

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【新潟知事選】
記者座談会(下)ネット上で不毛な「落選運動」

 --当選した元海上保安庁次長の花角英世(60)=自民、公明支持=陣営の戦いぶりで印象的だったのは

 記者A「大物弁士を呼ぶのを控えて政党色を薄める一方、自民党幹事長の二階俊博が県内で支援者の票固めに動く姿がテレビのニュースで映され、有権者に『結局は与党候補だ』という印象を与えた。『県民党』を掲げながら戦術は中途半端だった」

 記者C「魚沼地域で応援演説に立った地元の有力者が『女性知事は要らない』と発言したのには仰天した。陣営も困惑していたようだが、性差別だとして格好の批判材料を相手陣営に与えた」

 --敗れた元県議の池田千賀子(57)=立民、国民、共産、自由、社民推薦=と、元五泉市議の安中聡(40)の陣営は?

 記者B「池田陣営は法政大教授の山口二郎らを応援弁士に招いたが、池田の応援というよりも安倍晋三政権の罵倒に終始し、聞いていられなかった。池田も内心では迷惑だったのではないか」

 C「池田を支えた野党は政権への『口撃』を絡めた花角批判に躍起だったね。もっとも、池田は選挙戦の日々を重ねる中で徐々に肝が据わっていったように感じた」

 B「安中は街頭演説に精力を注いでいた。地元の五泉市では結構な人気だったよ」

 C「東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の即時廃炉を訴えたのは安中だけ。池田は反原発の票を全て取り込めれば勝った可能性もあり、結果的に安中が花角をアシストした形になった」

 --問題視される選挙活動もあった

 A「インターネット上では特定候補をおとしめるデマや噂が頻繁に流れていた。不毛な『落選運動』は見苦しい。柏崎市の市立保育園の保育士が園児に応援のポスターづくりを手伝わせたのは論外だが、選挙期間中に問題を発表した市の判断は微妙だ」

 B「陣営の事務所に電話で取材をしたところ、問題のポスターを貼り出していた事実を認めた。ところが別の担当者が電話に出てきて『貼っていない。見に来ればいいじゃないですか』と、一転して否定したのには驚いた」

 C「候補者を支援する人たちの行き過ぎと思われる発言が目立った」

 記者D「有権者の思いとは無縁のネガティブキャンペーンは、結局は得るものがないのではないか」

 --県政運営はどうなる

 A「新知事を誕生させた県議会多数派の自民、公明が名実共に県政与党となるが、県民党を掲げ続けた花角との力関係を注視したい。ただ双方の価値観は近いだろうから、県政の取り組みはスピードアップするだろう」

 B「問題は柏崎刈羽原発への対応。自民党県連の幹部は『原発政策に縛りはかけない』と話しているが、どこまで辛抱できるか」

 A「米山隆一県政で与党だった野党勢は名実共に県政野党に転落するとあって、意気消沈している。野党共闘の選挙戦では独自の主張を前面に出せず、政党としての存在感も乏しかった。当面は米山が策定した県の総合計画の行方に注目したい。野党側は『建設的な議論をしたい』としており、県政の立て直しにつながる論戦を聞きたい」

 --花角に求める政策は

 A「旧運輸省出身だけに交通政策に期待したい。出遅れているインバウンド(訪日外国人)の拡大に、新潟空港の活性化は欠かせない。選挙戦では上越新幹線の同空港までの延伸を掲げたが、実現のハードルは高い。原発政策では検証委員会の在り方を見直した方がいい。米山県政下では進捗(しんちょく)のスピードが遅かった。そもそも再稼働の『地元同意』に法的な定めはない。県が国政に過度に干渉することの是非も論じてほしい」

 C「新潟は若者の県外流出が止まらない。人口減対策や地域活性化に有効な手を打てるかも問われるだろう」

 D「『ようやく安心して県政を任せられるトップが生まれた』という声を聞いた。政治家としての力量は未知数だが、期待に応えてほしい」(敬称略)