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「危険運転」の成否、真っ向対立 過失致死傷罪の追加検討 神奈川

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「危険運転」の成否、真っ向対立 過失致死傷罪の追加検討 神奈川

 昨年6月の東名高速道路の夫婦死亡事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で起訴された石橋和歩被告の裁判員裁判に向けた公判前整理手続きが横浜地裁で進んでいる。法の規定にない停車後の事故への適用をめぐり、検察側と弁護側が真っ向から対立。検察側は予備的訴因に同法の過失致死傷罪を追加する検討も始めた。

 石橋被告は夫婦の車の進路をふさいで停車させ、その3分後、被告が降車していたときにトラックによる追突事故が起きた。県警は過失致死傷容疑で逮捕したが、横浜地検は罰則がより重い危険運転致死傷罪で起訴。進路妨害を繰り返して強制的に止めた一連の行為が事故につながったとして、危険運転の「妨害」類型に当たるとの判断だ。

 背景には、悪質運転に対する世論の批判や遺族の強い処罰感情があったとみられるが、危険運転致死傷罪は「運転行為」が前提。検察側は、妨害運転が終わっていても追突死と因果関係があり、罪に問えるとする一方、弁護側は「拡大解釈だ」と主張している。

 刑事法の専門家の意見も割れる。本庄武・一橋大教授は「法が想定する典型的な事故ではないが、裁判所は一連の行為として適用を拡大する可能性がある」とみる。

 しかし、井田良・中央大教授は「危険運転そのものと死傷の結果が直結していないと、適用は極めて難しい」と否定的だ。

 裁判で危険運転致死傷罪に当たらないと判断されれば無罪となるため、横浜地検は、弁護側も争っていない過失致死傷罪を予備的訴因に加えることを検討している。園田寿・甲南大教授は「今回のような事故を厳格に処罰するには、法改正して強制停車の項目を入れる必要があるのではないか」としている。