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米の軍事オプション消えず 九州は最前線、避難計画を

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 ■元陸上自衛隊西部方面総監の用田和仁氏インタビュー

 史上初の米朝首脳会談を前に、北朝鮮や韓国政府は融和ムードを演出する。その中で、元陸上自衛隊西部方面総監の用田(もちだ)和仁氏(65)=福岡市早良区在住=は産経新聞のインタビューに応じ、「朝鮮半島に親中国政権が誕生する可能性が大きくなっている。日本は北朝鮮だけでなく、中国への備えを強化すべきだ」と警鐘を鳴らした。(村上智博)

 北朝鮮は米国から攻撃されるのを恐れています。だから相手に抱きつき、その場を乗り切る「クリンチ作戦」に出た。

 とはいえ、米朝会談で簡単には敗北宣言はしないでしょう。トランプ米大統領が期限を設けた完全非核化や、中・短距離も含めたミサイルの完全放棄を求めても、簡単にはのまない。決裂する可能性が大きいのです。

 たとえ合意しても、北朝鮮はいずれは合意内容を破棄するでしょう。

 すなわち、米側が軍事オプションを選択する可能性は、残っているのです。

 日本には、北朝鮮の脅威をはね返す覚悟と戦略、予算が不可欠です。具体的には、ミサイル攻撃からの損害を最小限に抑えるような装備が必要です。

 そうした北朝鮮対策は当然ですが、中国の脅威こそ、深刻に受け止めないといけない。中国は南シナ海から東シナ海へと、覇権的拡張主義を唱えています。狙いは九州から沖縄に連なる南西諸島、そして台湾、フィリピンです。

 一連の韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の会談をみていると、いずれ朝鮮半島に「反日反米」、かつ「親中国」の統一政権ができかねない。そう危惧します。

 そうなれば、冷戦時代の1950年に、米国務長官が提唱した「アチソン・ライン」が復活します。これは、半島と日本の間にある対馬海峡などを、共産主義国との防衛ラインと考えたものです。

 長崎の対馬が、半島と向き合う最前線になる。日本はその腹づもりで、中長期的な防衛戦略を練らなければなりません。

 南西諸島への部隊配備に加え、五島列島から対馬、さらには隠岐、佐渡島とつながる防衛ラインを想定して、万一に備える必要があるのです。

 ■甘さ捨てよ

 米国は今年1月に発表した国家防衛戦略で、中国を競合相手としました。

 日本にとっても中国の存在は近い将来、国家存立の脅威になる。中国抑止を考えた防衛力の構築を急ぐべきです。

 といっても、米国が日本を助けてくれるとは限らない。日本は甘い考えを捨て、自らの国は自ら守り切る備えと覚悟が、必要になるのです。

 万一、半島で有事が起き、米国が北朝鮮をたたくときには、中国が間隙を突いて、尖閣諸島(沖縄)周辺に軍事的侵攻を仕掛ける可能性が高まるでしょう。

 中国が、そんな軍事的な冒険に踏み切らないよう、抑止力を高めなければなりません。

 半島や中国との関係をみると、九州・山口は万一の際、最前線になる地域です。

 北のミサイル攻撃からどう身を守るかだけでなく、半島にいる邦人の保護・救出や、難民対応にも備えなければならない。

 現実として、自衛隊が戦いながら、住民を避難させるのは不可能です。

 損害を最小限に抑えるには、自治体など行政が、民間人の避難を誘導する計画を事前に作っておくべきなのです。もちろん、県など自治体の境を越えた計画にしなければなりません。シェルターなど安全な場所への経路を周知する表示もいるでしょう。

 住民は、「自分のことは自分で守る」という意識を持ってほしい。

 このように有事では官民一体で行動する必要があります。その際に、自衛隊にどのように権限を与えるか。国はこうした法整備をすべきです。

 九州は、軍事作戦を遂行するための兵站(へいたん)や物資輸送の重要拠点になります。

 物資の輸送などを一元して担う官民一体の「統合輸送司令部」の新設を提案したい。こうした組織は、大規模災害時にも有効に働くのです。

 東シナ海の反対側にある大分、山口、広島などを経由して物資などを輸送する「海の道」を考えておくのも一策です。

 半島や中国の情勢をみれば、まさに国難が目の前に迫っています。にも関わらず国会では防衛について深い議論がない。マスコミや国民にもそれほどの危機意識がない。これでは到底、独立国だといえません。

 日頃から「有事」を想定した議論を避けずに、できることを実践する。日本が生き残る上で肝要だと考えます。

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