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【種蒔く人々 地方創生】西日本鉄道・吉中美保子さん(5) 「列車で食事」非日常の楽しみを   

料理に使用する沿線地域の食材
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 来年登場する観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(ザ レールキッチン チクゴ)」の楽しみは、何といっても車内で味わえる温かい食事です。メニューはいずれも、沿線地域の食材を使ったものとなります。

 メイン料理は、車内に設置した窯で焼きあげる、タケノコとアスパラガスのハーフ&ハーフピザです。「クリエイティブな発想による料理」をコンセプトに、旬の野菜を使ったピザが評判のレストラン「エンボカ」の今井正氏による監修です。

 タケノコは八女市産、アスパラガスは大木町産。筑後の豊かな食材を生かした、これまでにない新しい感覚のピザです。生地に使用する小麦粉は福岡県産です。福岡県は、北海道に次いで全国第2位の小麦生産量を誇ります。

 ウエルカムドリンクと一緒に最初に提供する「アミューズ」、そして前菜は福岡市在住の料理家、渡辺康啓氏の監修です。

 渡辺氏は福岡の豊かな食材と程よい都市感にひかれ、4年前に東京から移住されたそうです。

 前菜の野菜のプレートには、大木町でしか生産されていないキノコ「王リンギ」を使用しています。肉のプレートは柳川市産の「お刺身海苔(のり)」と博多和牛を合わせました。

 アミューズは赤色の食材で統一し、見た目も華やかです。素材の味を生かしつつ、新しさを感じる料理です。

 食事を楽しめる観光列車はたくさんありますが、調理済みの食事を持ち込むタイプが多く、車内で調理する列車はそれほど多くありません。車内で調理をする食堂車は、海外ではポピュラーで、日本でもかつては、特急列車や新幹線などに食堂車がありました。

 しかし、次々と廃止され、今は、豪華クルーズトレインや一部の観光列車などでしか見ることができなくなりました。

 列車の中で食事をする-。どこか非日常で魅力的な体験です。食の都ともいわれる福岡を走る観光列車だからこそ、提供する食事にもこだわりたい。運営のハードルは格段に高くなりますが、食事を企画の中心に据えたからには、車内調理は外すことのできないポイントでした。

 食材の選定に当たっては、まず、自分たちで沿線地域の食材や、こだわりの生産者などの候補を、徹底的にリサーチしました。自治体にも協力を依頼し、地域の農産物についての情報を提供いただきました。

 その後、福岡県のご協力で、料理監修者と一緒に、候補となる食材の産地を訪れました。生産者から直接説明を聞き、食材に対する理解を深めたのです。2人の料理監修者は、食材との出会いを喜び、その魅力を余すところなく生かし、食べる方に伝えるメニューを作ってくださったと思います。

 麦秋から黄金色の稲穂へと変わる天神大牟田線の車窓から見える風景は、麦と米の二毛作が盛んに行われる地域の農業に支えられています。また、九州一のキノコ産地である大木町では、収穫後の培地をアスパラガスの堆肥として再利用する循環型農業に、地域一体となって取り組んでいます。

 食材を通じて知った沿線地域の風景や努力も、多くの方に伝えたいと思います。

 メニューは、春夏秋冬と季節に応じて変更する予定です。旬の食材をふんだんに使った料理から、地域の豊かさ、魅力を感じていただきたい。それも西鉄の挑戦です。

 「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は平成31年春、運行を始めます。ご期待ください。

                   ◇

【プロフィル】よしなか・みほこ

 西日本鉄道株式会社。事業創造本部観光・レジャー事業部観光列車プロジェクト担当課長。福岡市役所勤務や大学院博士課程での研究経験を経て、西鉄に入社。博士(工学)。

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