PR

地方 地方

自治体電力の草分け・福岡の「みやまSE」、29年度決算は累積赤字3400万円

Messenger

 福岡県みやま市が出資する第三セクターで、電力小売業、みやまスマートエネルギー(みやまSE)の平成29年度決算が4日、公表された。初の単年度黒字を達成したが、債務超過の解消にはほど遠い。契約の内訳は、同社が掲げる「エネルギーの地産地消」から、かけ離れており、三セクとしてのあり方が改めて問われる。 (高瀬真由子)

                   ◇

 市の定例記者会見で公表した。事業報告によると、29年度の売上高は前期の2・3倍の18億円。電気をより多く使う法人への営業を強化し、計画の14億円を上回った。

 一方、経常利益は490万円で、計画(1400万円)の33%にとどまった。電力事業は黒字だったが、生活支援サービス事業や、レストラン「さくらテラス」の運営が赤字だったという。

 最終利益は106万円だった。

 ただ、資本金2千万円のみやまSEは、27年度1700万円、28年度1800万円の最終赤字を計上し、債務超過に陥った。黒字達成とはいえ、累積赤字は3400万円に上る。

 同社は、30年度中の債務超過解消を目指すが、状況は極めて厳しい。

 ■「市民の理解が不足」

 みやまSEは、みやま市内の太陽光発電所などの電気を、市内で消費する「エネルギーの地産地消」を掲げてきた。この看板にも、疑問符が付く。

 電力販売の契約件数は4535件(4月末)だった。

 ただ、みやまSEはNTTグループや東京ガスなどが出資する新電力最大手、エネット(東京)の代理店業務を行っている。契約のうち1406件は、エネットの電力の取り次ぎ契約だった。これは「地産」の電気とはいえない。

 また、みやまSEの、市内の家庭用電力の契約件数は1022件だった。みやま市の全約1万4千世帯の7%に過ぎない。

 同社は30年度までに、市内1万世帯の契約を目標としてきた。

 だが、この日発表した30年度の市内の契約獲得目標は、600件だった。1万世帯の目標を撤回した形となった。

 記者会見で西原親市長は「2、3年は経営は苦しいかもしれないが、5年6年の間には、何千万円か黒字が出ることを確認している。全く心配していない」と述べた。同席した、みやまSEの磯部達社長も「これまで法人に力を入れてきた。今年度から、市民により密着し、営業活動をしていく」と語った。

 とはいえ、具体的な打開策は乏しい。

 ■三セクのあり方

 みやまSEは市が55%、磯部氏が経営する民間企業の「みやまパワーHD」が40%、筑邦銀行(福岡県久留米市)が5%出資している。

 27年2月の設立以来、自治体電力の先駆けとして、メディアに華々しく登場し、他の自治体との協力関係も築いた。

 半面、当初から民業圧迫の批判や、経営の先行きを不安視する声もあった。

 同社の経営状況を見る限り、「エネルギーの地産地消」の理念は色あせている。なぜ、自治体の三セクが電力事業に参入するのか-。そこから問い直す必要がある。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ