PR

地方 地方

【熱血弁護士・堀内恭彦の一筆両断】改正望まれる「少年法」の年齢引き下げ

Messenger

 去る5月25日、衆院法務委員会において、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる等の民法改正案が可決された。改正案では成人年齢を18歳にするほか、女性が結婚できる年齢を現行の16歳から引き上げて男女とも18歳にする。明治29年の民法制定以来、約120年ぶりの大改正となりそうである。

 既に公選法の改正により選挙権も18歳以上に引き下げられており、残るは「少年法」である。民法と公選法と少年法の3法で成人年齢が異なるのはいかにも不合理であり、18歳成人の義務と責任を考えれば、少年法の適用年齢も現行の20歳未満から18歳未満に引き下げるべきである。

 これに対して、弁護士会や人権団体からは、「他の法律で18歳成人となったとしても、少年法の適用年齢は20歳未満のままにすべきである」との反対意見が根強い。「18歳、19歳の少年が被疑者となる少年事件は約4割を占めている。18歳、19歳は精神的・社会的に未成熟であるから、対象年齢を18歳未満に引き下げてしまうと、少年の立ち直りの機会を奪い、再犯防止を阻害してしまう」というのがその理由である。

 少年法は、少年の健全な育成を期し、非行少年に対して性格の矯正および環境の調整に関する保護処分を行うことを目的としている(保護主義)。その根底には「可塑性(かそせい)」、すなわち、少年は人格的に発展途上であるから適切な教育や処遇によって更生することができるという考え方がある。たしかに、少年法の理念は大切であるし、少年に可塑性があることも否定できない。

 しかし、現実には少年による凶悪事件が相次ぎ、「少年法は甘過ぎる」「もっと厳罰化すべき」「被害者の立場からすると、加害者である少年が少年法によって守られ過ぎている」との声も大きくなっている。世論調査でも少年法の適用年齢の引き下げについては「賛成」が約8割で、「反対」を大きく上回っている。

 少年法の適用年齢の引き下げに反対する人たちは、「適用年齢の引き下げによって少年犯罪が減るという証明はない」と反論するが、一方で「18歳、19歳には可塑性があり、20歳を超えると可塑性がない」ということにも科学的根拠はないと言える。

 今、議論すべきことは、日本における「可塑性」の法律上の線引きを何歳にするのが妥当なのか?ということである。「成人」の年齢をどう設定するかは、最終的には、その国の歴史や伝統、国民の価値観によって決まるものである。昔は15歳で成人(元服)だったのであり、そこまで行かなくとも、今の日本では高校卒業時の年齢であれば立派な「大人」である。今回の改正案では見送られたが、20歳未満の飲酒、喫煙、公営ギャンブル(競馬など)の禁止についても、判断能力のある18歳以上であれば禁止せずに自己責任に任せるべきとの考えもあり得る。

 20歳未満をいつまでも子供扱いするのではなく、社会全体で「18歳以上は大人である」という共通認識を広めていく方向に転換すべき時期に来ている。家庭や学校において、「18歳以上は立派な大人。自らの行動には義務と責任が伴うことを自覚せよ」との教育を充実させていくことが肝要である。そして、「子供は大人の鏡」であるから、子供だけが凶悪化することはあり得ない。少年法の適用年齢を引き下げるということは、われわれ大人にも、その自覚と責任が問われているのである。

                   ◇

【プロフィル】堀内恭彦

 (ほりうち・やすひこ) 昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。日本の伝統と文化を守る「創の会」世話人。趣味はラグビー。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ