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日本海中部地震あす35年 矢口高雄さん旧作が教訓「津波はどこでも起こる」

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日本海中部地震あす35年 矢口高雄さん旧作が教訓「津波はどこでも起こる」

「激濤 Magnitude7.7」(左)とベースになった記録「大津波に襲われた」 「激濤 Magnitude7.7」(左)とベースになった記録「大津波に襲われた」

 今も心に残るのは、行方不明になったままの息子を捜索するために多額の費用がかかり、工面に苦悩する父親の実話だ。「いつまで捜索するのかは『生きるも地獄、死ぬも地獄』」。諦めて供養した翌日に遺体が見つかったという。

 男鹿市の加茂青砂海岸で遠足に来た小学生13人が、津波で亡くなった様子にも衝撃を受けた。「手を伸ばせば救えそうな波間にいる子供たちが、引き潮に巻き込まれて消えていった」。だが作品化は見送った。学校側への責任追及問題などに配慮したためで、「痛恨の極み」という。

 「激濤」は津波の教則本として海外でも使われた。2005年にスマトラ島沖地震が発生したタイで日系NGOがタイ語に翻訳、日本政府の助成を得て、07年に現地の小学校や図書館に計6千部を無償配布した。日本の漫画の人気が高いことで実現したという。

 矢口さんは7年前の東日本大震災でも津波被害の作品化を考えたが、体調を崩していて果たせなかった。「日本人は忘れやすい。津波はいつでもどこでも起こる、と思い出してほしい」と警鐘を鳴らしている。

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