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小さな集落から極地マラソン挑戦 福岡のランナー・若岡さん「山でトレーニング」

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 福岡県上毛町に、砂漠やジャングルを舞台に200キロ超を走る「極地マラソン」のランナーがいる。若岡拓也さん(33)。ブラジルのアマゾンを1週間かけて完走した際、毒ヘビに襲われないよう木の間に張り、寝床にしたハンモックの快適さが忘れられず今も愛用する。

 上毛町の有田集落は、「有田富士」と呼ばれる巣狩山の麓に広がる。わずか16世帯の限界集落だ。ここを拠点にして海外のレースに挑む。集落の生活では、極地ランナーの鉄則である「荷物は無駄なく軽く」を実践する。空き家だった家賃5千円の借家に持ち込んだのは、本や衣類など最低限の物だ。「身軽になると、本当に必要なものは意外と少ないと気付く」

 かつて、金沢市で新聞記者をしていた。仕事や人間関係に行き詰まり、6年半勤め、30歳で退職。将来の見通しが立たない中で、ふいに思い出したのが、かつて取材した極地マラソンのランナーだった。「自分も走ってみるか」。奮い立ってトレーニングし、約3カ月後にアマゾンのレースに参加した。爽快だった。やみつきになった。

 レースから約2カ月後の平成26年12月、名前も聞いたことがなかった上毛町の有田集落に仮住まいすることになった。知人から、町の空き家物件を広報する期間限定の仕事を紹介されたのがきっかけだった。

 有田集落は移住体験プログラムなどで町外からの転入者を募り、住民も自宅を民宿にするなど移住者を積極的に受け入れていた。

 「ここなら生活費を抑えて、山でトレーニングもできる」。極地レースに打ち込む場所に決め移住した。

 住民の温かさにも引かれた。「ワカ(若岡さん)はね、非常識なやつ。砂漠走って何が楽しんだよ。早く嫁もらえって」。集落で民宿を経営する山本盛文さん(62)は、そんな憎まれ口をたたいた後、照れくさそうに付け加えた。「そういうやつがおってもいいけどね」

 1カ月の収入は、フリーライターとしてウェブ上で記事を書いたり、ニュースサイトを編集したりして得る20万円ほど。レースのため世界を飛び回るには十分ではないが、「好きでやってるから」と自分に言い聞かせる。

 人生の目標が定まっているわけではない。目的があれば、また別の土地に移り住むだろう。「どうやったって生きていける」という自信はある。これからも身軽に生きていく。

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