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「環境に優しい」一転、自然破壊の悪役に メガソーラー曲がり角 静岡県、森林伐採規制へ

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 東日本大震災の教訓を踏まえ、火力や原子力に代わって太陽光や水力といった再生可能エネルギーの導入を強く推進してきた県の政策が、曲がり角を迎えている。伊東市への大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設計画は、景観や環境、防災面での懸念を払拭できず、前に進んでいない。火力より環境にやさしく原子力より防災面の課題が少ないとして導入が進む太陽光発電も、いいことづくめの新エネルギーとはいかないようだ。(田中万紀)

                   ◇

 「太陽光発電はぜひ推進したいと考えてきたが、これほど大量のメガソーラーが造られるとは、東日本大震災以前は考えられていなかった」。川勝平太知事は、県内各地でメガソーラー建設計画が次々と浮上する現状に戸惑いをみせた。

 県は平成22年度末に「新エネルギー等導入倍増プラン」を策定。当時は9万キロワットだった太陽光発電を、10年後をめどに30万キロワットまで増やす目標を立てた。

 ところが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度と全国最長の本県の日照時間があいまって、太陽光発電は想定以上に普及し、23年度には早くも18万キロワットに倍増した。

 このため県は、24年度に目標を当初の3倍にあたる90万キロワットに上方修正。25年度には110万キロワット、27年度には200万キロワットと引き上げた。

 導入実績は、25年度に54万キロワットとなり、当初目標の30万キロワットをあっさり達成。26年度には96万キロワット、27年度には118万キロワットと飛躍的に伸び、28年度には150万キロワットを超えた。

 

しかしここに来て、太陽光発電推進に水を差すような事態が生じている。伊東市八幡野の山林へのメガソーラー建設計画に、地元住民が猛反対。林地開発許可を与えるかどうか審議する県の森林審議会が、3度も開かれてなお最終結論が出ていないという異例の事態に陥っている。

 県が許可の付与に慎重になるのは、約43ヘクタールの山林を開発して約12万枚の太陽光パネルを並べるこの計画が、大規模な森林伐採を伴うからだ。

 川勝知事は4月の定例会見で、「森林を伐採して太陽光パネルを設置することは大きく規制していく」と、森林伐採を伴うメガソーラー建設には何らかの規制を設ける方針を打ち出した。しかし一方で、「太陽光パネルの設置にふさわしい場所で景観上不快な感じを与えないのであれば、規制する理由はない」とも述べており、メガソーラー全般への一律の規制は行わない考えだ。

 1基当たりの出力が大きいメガソーラーは、再生可能エネルギーの推進には不可欠といえる。しかし、大規模な森林伐採を伴ったり景観や自然環境に甚大な悪影響を与えることもあり得るだけに、県としても環境や景観の保全と再生可能エネルギー推進のバランスをどのように調整していくのか、対応に苦慮している。

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