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鈴木八寿子さん、宝蔵院流槍術で女性初の初級合格 奈良

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 ■「杖より槍似合うおばあちゃんに」決意新た

 奈良発祥の古武道「宝蔵院流(ほうぞういんりゅう)槍術(そうじゅつ)」で、戦国時代から460年続く流派の歴史で初めて女性伝習者が初級の審査に合格した。京都市の主婦、鈴木八寿子(やすこ)さん(48)。これまで男性だけに門戸が開かれていた流派に新たな風を吹き込み、「末永く続け、杖よりも槍(やり)の似合うおばあちゃんになりたい」と喜びに浸っている。

 宝蔵院流槍術は興福寺の僧・胤栄(いんえい)が16世紀半ばに創始したとされる。穂先が十字型の鎌槍「十文字槍」を用い、「突けば槍、薙(な)げば薙刀(なぎなた)、引けば鎌 とにもかくにも外れあらまし」と詠まれるなど、攻防ともに優れた槍術として発展。江戸時代には多くの藩が取り入れ、全国に広まった。

 奈良や大阪、名古屋、東京のほか、ドイツ・ハンブルクにも道場や稽古場があり、現在は20代前半から70代後半まで約100人の伝習者が技を磨く。

 発祥以来、伝習者は男性のみという伝統を守り続けていたが、伝承を担う奈良宝蔵院流槍術保存会(奈良市)の内部で「伝承のみを理由に女性を断る理由はない」との声が浮上。昨年4月から、女性の伝習者を受け入れることになった。

 鈴木さんは同3月、奈良市で開かれた武道体験イベントで、夫の直(なおし)さん(48)と一緒に宝蔵院流槍術を初体験。それまで武道の経験もなく、スポーツも苦手だったが、「ほんの出来心」(鈴木さん)で、他の2人とともに初の女性伝習者となった。

 稽古用の素槍(長さ3・6メートル、重さ2・5キロ)と鎌槍(同2・7メートル、同2・1キロ)はカシの木で作られており、その長さから重心を安定させるのは難しい。男性でも自在に扱うには修練が必要だ。鈴木さんは「最初はふらふらして、狙った場所を突くことができなかった」と振り返る。それでも、「槍の『非日常感』が楽しかった」と毎週の稽古に欠かさず参加し、徐々に槍の扱いに慣れていったという。

 4月にあった「初級」への昇級審査には、昨春一緒に入門した直さんと挑戦。突いたり、相手の槍をたたき落としたりする14の基本型「表十四本」を審査員の前で演武し、夫婦そろって合格を果たした。

 今年は新たに2人の女性が入門し、「仲間が増えると稽古も楽しい。これを機に女性の伝習者がもっと増えてくれれば」と話す。鈴木さんを指導した宝蔵院流槍術21世宗家の一箭(いちや)順三さん(69)は「1年間、稽古をよく頑張った。後輩の女性にも伝統を伝えていってほしい」と期待を込めた。

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