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都市化進むベトナム、深刻な農村離れ 福井の農業生産法人、県産米で若者雇用創出

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都市化進むベトナム、深刻な農村離れ 福井の農業生産法人、県産米で若者雇用創出

 福井市で農産物の生産から加工、販売までを手がける農業生産法人「アジチファーム」の義元孝司会長(66)は、都市化が進むベトナムで若者の農村離れを食い止めようと、福井のコメを使った現地での雇用創出に取り組んでいる。

 義元さんは福井県内の高校を卒業後、印刷会社に勤務。平成13年に50歳で退職し、地元の農家と消費者をつなごうと、農産物の直売所経営に乗り出した。21年に同法人を設立すると、福井市に約100ヘクタールの農地を確保。加工用のコメや野菜の栽培を始めた。

 転機が訪れたのは28年。海外展開を考えていたところ、急激な都市化によってベトナムの農家が深刻な後継者不足に陥っていることを知った。コメ大国としても知られる同国だが、農村から都市への人口流出が激しく、約30年後には都市の人口が農村を上回るとの指摘もある。

 同国での日本食ブームで、日本米が高価でも人気があることに目を付けた義元さんは、大規模農園を経営する現地の農業法人と合弁会社を設立。福井のブランド米「ハナエチゼン」など計5種類の種もみをベトナムに持ち込み、昨年から北部のナムディン省で稲作を始めた。

 現地の稲作は二期作で、2月と7月に田植えをし、それぞれ約4カ月後に収穫する。1期目の昨年6月に収穫したハナエチゼンは、日の当たる時間帯が日本と異なることなどが影響し、小粒で割れが目立った。2期目では1週間ほど田植えの時期を早めた結果、小粒ではあったが、つやや香りが増したという。

 「福井のコメで笑顔を増やしたい」と義元さん。今年4月、こうして収穫したコメで作った米粉を材料にしたパンやたこ焼きを売る店を首都ハノイにオープン。今後、ベトナム国内でのコメ栽培を拡大しながら出店も増やし、農園や店で現地の若者を採用する計画だ。育てたコメをおにぎりなどに加工する施設をナムディン省に建設し、千人規模の雇用を生む構想も温めている。