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「文化を継承」日本画家支援 さいたまの医師・高田任康さん(69)

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「文化を継承」日本画家支援 さいたまの医師・高田任康さん(69)

 武蔵野銀行大宮支店(さいたま市大宮区)で日本画の「扇面画」展が開かれているが、企画したのは、さいたま市内で皮膚科を開業する医師の高田(たかた)任康(ひでやす)さん(69)。日本画と医師。畑違いだが、還暦を迎えたときに「これからの人生、人を育てたい」と一念発起し、平成22年から日本画家の支援に乗り出した。美術館を開館する構想も温めている。

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 ◆“在宅勤務”で自由に絵を

 高田さんは展示されている扇面画8点を眺めながら、日本画家の支援に乗り出したころを振り返る。当初は音楽家や彫刻家の支援を検討したが、「長い歴史のある日本文化を継承していきたい」との思いから日本画家の育成に決めた。東京芸術大学の協力を得て、同大の大学院を修了し、研究助手の任期を終えた30~40代の画家を高田さんの病院で雇用している。現在、1人当たり月最大で15万円を支給、社会保険にも加入させている。

 とはいえ、病院の事務作業などを任せているわけではない。「とにかく自分の好きな絵を在宅勤務の形で描いてもらっている」(高田さん)というユニークな勤務形態を採用している。

 日本画家の中には、アルバイトで生計をやりくりする人が多いという。高田さんも「カルチャースクールや予備校の講師だけでは生活は厳しい。だからこそ、給与を支給することで生活への不安を少しでも解消し、活動に打ち込める環境を提供したい」と強調する。高田さんが雇用する画家には、材料費や画料も支給し、支援費は年1千万円を超える。今年4月には3人の“新入社員”が入社し、高田さんが支援する画家は総勢14人に増えた。

 ◆「2年後には美術館開きたい」

 14人が描いた作品は現在74作品。高田さんは「100作品になる見通しの2年後を目標に、これまでの作品を展示する美術館を開きたい」と抱負を語る。

 「東京芸大との信頼関係もできている。長く続けていきたいので、私自身も元気に頑張らなくてはなりません」。今年で古希を迎える高田さんの夢は果てしない。

 武蔵野銀行大宮支店の扇面画展は5月30日まで。(大楽和範)