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「次世代放射光施設を仙台に」 東北大青葉山新キャンパス、文科省委員会が現地調査

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「次世代放射光施設を仙台に」 東北大青葉山新キャンパス、文科省委員会が現地調査

 文部科学省が官民地域パートナーシップによる早期整備を目指す次世代放射光施設で、建設候補地に名乗りを上げている東北大青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)を15日、科学技術・学術審議会の量子科学技術委員会「量子ビーム利用推進小委員会」(主査・雨宮慶幸東京大大学院特任教授)の委員10人が訪れ、現地を調査した。

 同省では同施設の整備・運用に積極的に関わる地域と産業界のパートナーを募集、同施設実現を目指す産学連携組織の「光科学イノベーションセンター」と県、仙台市、東北大、東北経済連合会(東経連)が連名で提案者として応募、先月から提案書類の審査に入っていた。6月にはパートナーの決定・公表が行われる見通し。他地域からの提案はなく、実現すれば東北初の放射光施設になる。

 この日の現地調査では、候補地と周辺施設の計画などについて、説明が行われた。仙台市の郡和子市長はあいさつで、利便性や住環境のよさを挙げ、「アクセスのよさはビジネスを行う意味でも大きなポイント。東日本大震災からの復興の大きな起爆剤になると期待している」と語った。

 東北大の大野英男総長は「世界トップレベルの学術研究、わが国の産業の競争力強化、震災後の東北の創造的復興の推進のために本施設を推進していきたい」、東経連の海輪誠会長は「既に全国の大手企業約50社、地元の中小企業約40社が参画の意向を表明している。産業界の期待を強く感じている」と述べた。

 光科学イノベーションセンターの高田昌樹理事長は終了後、「将来のリサーチコンプレックス形成の中核として、ふさわしい立地であることを理解いただけたと思う」とコメントした。

 放射光施設は「ナノを見るための巨大な顕微鏡」ともいわれる施設。リング型加速器で光速近くに加速させた電子を、磁場の力で方向を曲げた際に発生する放射光を利用、物質を原子や電子レベルで解析する。平成9年に供用を開始した兵庫県佐用町にある「スプリング8」が有名だが、今回計画されているのは1周325~425メートルとコンパクトで、100倍程度の分析能力を想定、世界的にも最先端の性能を持つ。

 量子ビーム利用推進小委員会は今年1月、建設費総額が約340億円、整備期間が着手から約5年を見込むと報告。東北大では実現した際の地域経済への波及効果は10年間で約3200億円と試算している。