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「景色に親近感」「涙出る思い」 映画「孤狼の血」公開に呉市沸く

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「景色に親近感」「涙出る思い」 映画「孤狼の血」公開に呉市沸く

 呉市を中心にオール広島ロケの東映映画「孤狼(ころう)の血」(白石和彌(かずや)監督)が全国公開された12日、同市内の上映館は待ちわびた市民や映画ファンが開館前から長い列をつくった。見慣れた街並みや劇中飛び交った呉弁のセリフに、市民は「親近感がわく」「涙が出る思い」。撮影場所を紹介するロケ地マップも配布され、地元では町の活性化へ期待が高まっている。

 原作は作家、柚月裕子さんの同名小説。昭和63年当時の呉市をモデルにした架空の市「呉原(くれはら)」を舞台に、暴力団抗争に巻き込まれたベテラン刑事、大上(役所広司)と広島大卒の新米刑事、日岡(松坂桃李)らの人間ドラマを描いている。

 公開初日のこの日、呉市中通の映画館「呉ポポロシアター」には初回上映を見ようと、朝から行列ができた。「(呉を舞台にしたアニメ映画)『この世界の片隅に』でも、初回にこんなに多くの人が押しかけることはなかった。期待の大きさでしょう」と同館専務の下原謙次郎さん(81)。

 白石監督が昭和の雰囲気が残る呉でのロケに強くこだわり、作品の8割以上が市内各所で撮影された。中通商店街や夜の繁華街の雑踏、瀬戸内海に面した港町の情景…。呉の魅力が全編に漂い、多くの市民がエキストラとして出演もしている。

 柚月さんのファンという地元の高校3年、堀祥香さん(17)は「見慣れた景色が出てきて親近感がわいた。内容もよかったし、自分の住む地域が映画の舞台になって本当にうれしい」と声を弾ませた。同市の会社員、田村正行さん(60)は「ロケを見ていたので楽しみにしていたが、言葉も呉弁そのままでおもしろかった。映画が町の活性化になればいいと思う」と笑顔を見せた。

 昨年からロケ地マップを作るなどしてPRしてきた呉観光協会の平田己恵子さん(49)は「正直心配だったが、初回から多くの方に来てもらい、涙が出る思い」と感激した様子。「昭和の景色は呉の魅力であり、最後の遺産と思う。ぜひ呉を直接訪れて町の雰囲気を感じてほしい」と話していた。