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大川小訴訟 「全国の教育現場に影響」 宮城知事、県会全員協で上告方針を説明

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大川小訴訟 「全国の教育現場に影響」 宮城知事、県会全員協で上告方針を説明

 東日本大震災で児童ら84人が犠牲になった石巻市立大川小学校の児童の遺族23人が市と県に損害賠償を求めた訴訟で、村井嘉浩知事は9日、県として上告する方針を県議会の議員全員協議会で伝えた。村井知事は専決処分を同日中に行う方針を固めたと説明、「臨時議会を開催する時間的余裕がなく、やむを得なかった」と説明した。

 村井知事は上告の理由について、(1)1、2審ともに市と県側の敗訴だが、事前防災の責任などが全く違う内容(2)校長らが事前防災で土木工学の知見を持ち地域住民以上の高いレベルで危機対策マニュアルを見直すことが現実的だったか(3)控訴審判決が確定すると判例になり全国の教育現場に影響する-の3点を挙げた。

 県教育委員会は同日、全員協議会の終了を受け、上告の専決処分の決裁手続きに入った。10日に正式な上告の手続きを行う見通し。

 議員全員協議会での各会派の主な質疑は次の通り。

 自民党・県民会議、相沢光哉議員「第三者委員会の大川小学校事故検証委員会では関係当局、学校関係者の法律上、行政上の責任は追及せず、などが前提とされた。このようなあり方自体が遺族の大きな不満だったのでは」

 高橋仁教育長「検証委は再発防止で責任追及でないということだった」

 相沢議員「訴訟に加わらなかった遺族への配慮、今後の対応は」

 村井知事「上告は原告が対象。上告審の判断がでる前には言及できない」

 みやぎ県民の声、坂下賢議員「石巻市の上告方針を決める経緯の中で知事や教育長から何らかのアドバイスがあったのでは」

 村井知事「上告すべき、すべきではないとは一切話していない。ただ一つ全国的に影響する非常に大きな裁判で、石巻市だけの問題ではないことをご留意くださいとは言った」

 共産党県議団、遠藤いく子議員「控訴審判決の事前防災不備を認めるか」

 村井知事「残念ながら認められない。判決は震災前の常識に合わせて作ったものでは足りないということだが、判例となればそれを超える何かがあれば全て行政、教育現場の責任になる。それは行き過ぎだ」

 公明党県議団、遠藤伸幸議員「控訴審判決によると校長らは具体的な避難場所、経路や方法を決めておらず訓練なども実施していなかった。不備を石巻市教委は一度も指摘せず、改善指導もしなかった。それでも過失はないのか」

 高橋教育長「結果として大きな事故を生んだことは痛恨の極み。防災教育を校長の責任のもとに各学校で、教育委員会としてもしっかり指導できるようにしなければならない」

 社民党県議団、岸田清実議員「控訴審までで事実認定がなされた中で、上告要件を整えられるのか」

 高橋教育長「代理人とも相談して上告の手続きを取ることはできるとのアドバイスを受けている」

 無所属の会、菅間進議員「大川小の地理的危険性を考慮すれば石巻市教委の指導の在り方に問題は」

 高橋教育長「震災前の段階で大川小を含め各学校で危機管理マニュアルの徹底が不十分だった」

 21世紀クラブ、吉川寛康議員「上告判断の一連の経過への受け止めを」

 村井知事「上告をすべきでないというのも一つの考え方。どれが正解かということが分からない中で影響力の大きい判決なので最高裁の判断に委ねたい」

 〈宮城〉石巻市立大川小の訴訟で、市議会での上告関連議案可決から一夜明けた9日、亀山紘市長は会見し、「結果を真摯(しんし)に受け止めて対応していく」と、事前防災の対策に取り組んでいく考えを改めて示した。

 具体的には「地域にあった防災マニュアルを作成するため、市教育委員会の指導を始めている」と述べ、争点となったマニュアル見直しに着手したと強調。

 1、2審で敗訴しており、最高裁の判断次第では「責任問題が出てくるという認識でいる」としながらも、「(進退は)特に考えていない」とした。