産経ニュース

東北初文化勲章受章の日本画家、松尾敏男展 12日から須賀川市立博物館

地方 地方

記事詳細

更新


東北初文化勲章受章の日本画家、松尾敏男展 12日から須賀川市立博物館

 ■牡丹画のみずみずしさ楽しんで

 文化勲章受章者で“牡丹(ぼたん)画の名手”と呼ばれた日本画家、松尾敏男の作品計40点を集めた特別展が12日、須賀川市立博物館で幕を開く。松尾は平成27年まで40年以上にわたり、同市の国名勝「須賀川牡丹園」に足を運び、花に宿る命を見つめ、描き続けた。ゆかりの地で開かれる東北初の特別展に、安藤清美館長は「須賀川で生まれた牡丹画の命のみずみずしさを楽しんでもらいたい」と話す。(堀口葉子)

 特別展は「日本画壇の巨匠 松尾敏男-命の輝きを描く」(同博物館主催、産経新聞社企画協力)と銘打って開催される。展示作は、生前の松尾が自身で選んだ「雨余(うよ)」「廃船」など。29日からの後期では、全ての展示作が入れ替わり、「朧(おぼろ)」「玄皎想(げんこうそう)」などの秀作が並ぶという。また、横綱白鵬関の化粧まわしの原画となった牡丹画なども鑑賞できる。

 松尾は体操選手を目指したが、病気のため断念。子供の頃から好きだった絵を描くことを始め、偶然目にして感銘を受けた「雨後」の作者、堅山南風に師事。「院展」で知られる日本美術院を主な舞台として活動し、花鳥風月をはじめ風景画、肖像画、動物画など幅広い分野の作品を手がけた。中でも特筆されるのが「牡丹画」だ。

 牡丹との出会いは、戦後間もない20歳のころ。訪ねた知人宅で、庭一面の牡丹をみて、戦争を経てもなお美しいと感動したことだった。以来、牡丹画にこだわり、「牡丹図は私の作品世界の背骨のようなもの。花の生命感、生命のみずみずしさの表現にいかにせまれるか、問題を常に突き付けられている」と、常々口にしていたという。

 松尾は毎年5月になると、画材を積んだ愛車のハンドルを握り、自宅があった横浜市から須賀川市の「須賀川牡丹園」に足を運び、写生に没頭した。「特に朝の花がすばらしい」と言い、早起きをして園内でスケッチにいそしんだ。

 「父は須賀川牡丹園の古い歴史と、何より花の美しさに、特別な場所と感じていた。自然豊かで、庭園も広がり、たくさんの鳥や池のコイを見て、癒やされていたようです」と、長女の由佳さんは振り返る。

 特別展は6月10日まで。開館時間は午前9時~午後5時。月曜休館。観覧料は一般500円、高校生以下・70歳以上は無料。問い合わせは、同博物館(電)0248・75・3239。

                   ◇

【プロフィル】松尾敏男

 まつお・としお 大正15(1926)年、長崎市生まれ。戦後、新進気鋭の日本画家として活躍し、平成21年、日本美術院理事長に就任。24年、文化勲章を受章。自ら作品をリストアップして特別展の準備を進めていた28年、90歳で死去した。