PR

地方 地方

寒さに強いバナナ開発 無農薬で皮ごとパクリ 岡山市の農業法人

Messenger

 ■苗に氷河期体験させ…研究40年

 南国で育つバナナが、冬には気温が氷点下になる岡山県で栽培されている。農業経験ゼロの男性が約40年の研究の末、苗に「氷河期を体験させる」というユニークな手法を開発。寒さに強いバナナに国内外から注目が集まっている。

 厳しい冷え込みが続いた昨年12月、岡山市の農業法人「D&Tファーム」のビニールハウスでバナナが鈴なりに実っていた。技術責任者田中節三さん(69)は「立派でしょう」と誇らしげだ。

 田中さんが栽培するのは「ものすごい」という意味の岡山の方言を入れて名付けた「もんげーバナナ」。約50年前まで世界的に主流だった「グロス・ミシェル」という品種で、濃厚で甘みが強く、無農薬で皮ごと食べられる。箱入りで3本4860円だが売り切れが相次ぐ人気商品だ。

 「自分で育てて、おなかいっぱい食べたい」。田中さんはバナナが高級品だった20代の頃、こんな思いから研究を始めた。海運や造船会社の経営で得た資金を元に、沖縄の島バナナの苗を持ってきて植えたり、ハウスをストーブで暖めたりしたが、苗は枯れていった。

 ある時、テレビ番組でソテツの化石を見てひらめいた。「熱帯の植物も氷河期を生き抜いた。バナナを似た環境に置けば寒さに適応する力を引き出せるはずだ」

 苗を冷凍庫や液体窒素で凍らせてみたが失敗。ところが、苗の一部を特殊な液体に浸し、冷凍庫で約半年かけてゆっくりマイナス60度まで温度を下げ、凍らせてから植えると、順調に育ち実を付けた。収穫までの期間が通常の半分程度になることや、収穫量が増えることも判明。コーヒーやパパイアなど他の熱帯植物にも応用できたという。露地栽培も可能だが、台風被害を防ぎ安定的に収穫するため、ハウスで育てている。

 平成27年に法人を設立し、昨年からバナナの生産を本格化。苗の販売も始め、バナナ栽培が西日本を中心に広がっている。海外からも視察に訪れ、中国では実験栽培が進行中だ。田中さんは「シベリアのような寒くて広い土地で作物を育て、世界中の人に食料を届けたい」と意気込んでいる。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ