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岩国で海兵隊のワッペン作るREX商会・武内比呂武さん 精巧な刺繍「文化絶やさず」

ワッペンを手にする武内比呂武さん
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 岩国基地で働く海兵隊員たちが制服に付けるワッペンを、60年以上作り続ける刺繍(ししゅう)店が同基地のすぐ近くにある。「REX商会」で、一時は先代が高齢のため閉店の危機に見舞われたが、先代店主を知る岩国市在住の武内比呂武さん(46)が跡を継いだ。「ベスト・オブ・ザ・パシフィック(太平洋で一番)」と呼ばれるほどの匠の技の継承を目指す。

 鳥居に漢字に、動物に…。店内には米軍関係者の好む模様(もよう)が、刺繍糸で精巧に描かれたワッペンがずらりと並ぶ。基地で放送される英語のラジオが流れ、小気味良いミシンの音がカタカタとリズムを刻む。

 ワッペンは、基地の各部隊や部隊内のセクションごとに作られる。自らの所属を証明するため、隊員はおそろいのワッペンで制服の胸元や肩などを飾る。

 大きさの規定はあるが、デザインは自由だ。最も緻密な商品は、1枚を作るのに丸一日はかかる。

 武内さんは1枚ずつ、刺繍専用のミシンで丁寧に作り上げる。こだわりの逸品に、ファンも多い。武内さんは「立体感が生まれ、独特の温かみが感じられる」と話す。

 今年3月末には米海軍厚木基地から空母艦載機の移駐が完了した。店には噂を聞きつけた海軍の部隊からの注文が相次ぐ。

 武内さんは高知県出身。高校時代に、自転車で半日かけて岩国基地を訪れ、店に立ち寄った。2代目店主の薗頭士郎さんと出会い、デザインの緻密さにほれた。

 6年前に山口市内に軍用放出品店をオープンした後も、通い続けた。

 平成28年夏、薗頭さんから突然、「店を閉めようと思う」と打ち明けられた。

 武内さんはワッペン作りの経験はなかったが、自分が跡を継ごうと決心した。

 自らの仕事の合間を縫い、武内さんから手ほどきを受けた。その年の暮れ、薗頭さんは75歳で他界した。

 「ワッペンも大切な文化。決して絶やしてはいけない」。

 薗頭さんの写真を飾った店内で、武内さんはきょうもミシンと向き合う。

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