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春の褒章に山梨から9人

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 平成30年春の褒章受章者が28日付で発表され、県内から9人が選ばれた。自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した人に贈られる紅綬褒章に、川で溺れた男児を救った甲府市の塩沢立美さん(62)、団地火災で8人を救出した同市の日原拓哉さん(19)が輝いた。日原さんは今回の受章者で最年少。その道一筋に励んだ人をたたえる黄綬褒章は2人、公共の利益に貢献した人に贈られる藍綬褒章は5人。発令は29日。

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 ■紅綬褒章 塩沢立美さん(62) 溺れた男児を間一髪で救助

 昨年5月4日、愛犬と自宅近くの荒川の土手を散歩中、「助けて」という子供の叫び声。駆けつけると、小学2年の男児が川面に浮いていた。声を掛けたが返事がない。迷わず飛び込んだ。

 足がつかない。「子供の頃に遊び、浅いと思っていたので焦った。『自分もだめかも』と恐怖がよぎった」。子供の腕をつかみ岸へ向かうが、傾斜した護岸で滑り、上れない。隙間に生えていたヨシをつかみ、岸に上がった。

 「おい、大丈夫か」。反応がない。即座に心臓マッサージを施した。1分ほどで息を吹き返した。

 塩沢さんは家業の塗装会社の代表。昨春まで、地元の高畑南部地区自治会の防災部長。救命措置の心得があった。

 「家に帰る。お母さんが心配する」と男児の声。病院へ搬送され、ことなきを得た。

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 「体温が29度まで下がっていた。もう少し遅かったら危なかった」。消防関係者から聞かされた。

 「いくつも偶然が重なった」と振り返る。当日は妻に促され、普段よりも1時間早く、犬の散歩に出かけた。異変を察知したのか、愛犬に引っ張られた。そこで初めて助けを求める子供の声を聞きつけた。

 自治会の防災部長を務めたことで、「日頃から何かあったときの備えをしておかねば」との思いを強くしたという。車に救急用ライフジャケットを積み、散歩の時は長さ3メートルのロープも携帯している。

 塩沢さんは4月、自治会長に就任した。「受章の知らせを受けてびっくりした。ありがたいことです。経験が役立ってうれしい」。地域の安全への思いを新たにしている。 (松田宗弘)

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 ■火災で8人救出 最年少・日原さんも

 「何よりびっくりしました。私のような者が受章してよろしいのでしょうか」と謙遜しながらも、「救助に関わった地域のみんなでいただくと思う。うれしい」と喜んだ。

 県立韮崎工業高校3年だった昨年11月、住んでいる甲府の市営団地で火災が発生。炎と煙に包まれた火元の部屋から、足の不自由な高齢者を助け出すなど、8人を救出・誘導した。

 「体が自然に動きおじいさんの部屋に向かっていた。自分は当たり前のことをしただけです」

 美容師の道を目指すため、中央市内の美容院に就職。仕事の合間に都内の美容学校に通う。

 「祖母が美容師だった影響もあり、人を美しくすることに興味があった」

 免許を取るまでカットやシャンプーはできず、髪染めの補助などを担当している。順調にいけば、3年後には美容師免許を取得できるという。

 「頭の中は今、美容のことだけ。休みの日も髪染めやカットの勉強に専念しています。明るい笑顔で多くのお客さまから信頼される美容師になりたい」。おしゃれなヘアカラーの奥に、りりしい瞳とさわやかな笑顔があった。 (昌林龍一)

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 ◆喜びの受章者

 ▽紅綬褒章(2人)     

塩沢 立美62人命救助者   甲府

日原 拓哉19人命救助者   甲府

 ▽黄綬褒章(2人)     

小泉 吉広64司法書士    大月

斉藤  諭68土地家屋調査士  南アルプス

 ▽藍綬褒章(5人)     

今村  力60昭和町消防団長  昭和

入倉 治彦77保護司  富士川

金井美代子68元家計調査員  甲府

鶴田 文雄68元甲府市消防団分団長  甲府

野口 武彦76保護司  韮崎

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 【名簿の見方】氏名・団体名、年齢、経歴、現住所(市町名)-の順。年齢は発令の29日現在。経歴の「元」には「前職」を含む。氏名の字体は、共同通信社が使用中のものを基準とした。敬称略。

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