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島根・安来の加納美術館で莞蕾の戦争画複製し公開

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 画家で戦後、日本人戦犯の釈放に尽くした加納莞蕾(1904~77年)が日中戦争時に描いた油絵「山西省潼関(どうかん)付近の追撃戦」の複製画が完成し、島根県安来市広瀬町の安来市加納美術館で26日、公開が始まった。莞蕾が手がけた現存唯一の戦争画を原寸大で鮮明に再現。同館は「作品をより詳細に分析でき、莞蕾の平和哲学に対する理解を深める上で意義深い」と期待している。

 この作品は、莞蕾が昭和13年に日中戦争の従軍画家として中国山西省に赴いた際の制作で、進撃する旧日本軍の様子を描いた。終戦後に米軍が接収したが、45年に日本政府へ無期限貸与。現在は、東京国立近代美術館に収蔵されている。

 莞蕾は一時、従軍画家として多くの戦争記録画を描き、展覧会にも発表していたが、実物が現存するのは同作だけ。加納美術館は、東京国立近代美術館にこの作品があるのを平成24年に把握。許可を得て撮影し、写真を伸ばして館内で展示するなどしてきた。しかし実物が縦130センチ、横194センチの大作だったのに比べて複製は縦82センチ、横120センチとやや小ぶりだったことなどから、原寸大の複製作業を進めた。

 東京国立近代美術館から作品のポジフィルムを借り、専門業者に依頼して精密にプリント。完成した複製画は、細部にわたり色使いや質感などが実物さながらに再現された。

 「遠くで飛び交う航空機や兵士が持つ日章旗など、旧来の写真複製画では気付かなかった描写を確認できた」と神英雄・加納美術館長。莞蕾の4女で名誉館長の佳世子さんも「戦後、父が手がけた平和を希求する活動の原点といえる作品。父が語った『ヒューマニズム』を理解する上で、この複製画は重要な役割を果たす」と話している。

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