産経ニュース

【もう一筆】宮城 変わりつつある葬式の風景

地方 地方

記事詳細

更新

【もう一筆】
宮城 変わりつつある葬式の風景

 7日付本紙の「一筆多論」で、河合雅司論説委員が、「『高齢化した高齢者』の増大は、葬式の在り方にも変化を及ぼしている」と指摘し、「少子高齢化は、ここでも『日本の風景』を変えつつある」と結んでいた。

 変わりつつある葬式の風景でいうと、記者の住む宮城県の農村部では、「葬列」を見ることがほとんどなくなった。かつての土葬の頃は葬列を組んで死者を墓地まで送ったといい、火葬となった後も供物や位(い)牌(はい)、遺影、遺骨などを持った葬列が自宅から墓地まで歩いていた。地域では葬列が家の前を通ると、合掌して見送った。

 記者は20代からこれまでの30年間で喪主を3度務めた。最初と2度目は葬列を組んだが、先月の3度目は葬列を組まずに葬儀を営んだ。地域では葬列を組まない葬式が主流になりつつあり、それに合わせた。

 記者の住む大崎市など大崎地域では、相互扶助組織の「契約講」が葬式を執り行うところが多かった。大崎地域に広がる「大崎耕土」が国連食糧農業機関(FAO)の「世界農業遺産」に認定されたが、水田農業の伝統的水管理システムの基盤として評価されたのが、「契約講」の存在だ。地域内の563行政区に対し760の契約講が現存する。ただ契約講も生活様式の変化や少子高齢化の影響を受けつつある。記者の地元では契約講がなくなって久しいと聞く。葬式の風景も変わりつつあるが、互助の精神は変わらない。(石崎慶一)