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「災害で大切な人を失う」疑似体験 東北学院大が語り部と特別授業

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 1万5895人の犠牲者を出した東日本大震災。遺族らは「災害で突然、大切な人を失う」という経験をした。かけがえのない存在が奪われることを疑似的に体験し、震災を「自分の身に起きたこと」と捉えて、理解しようとする取り組みがある。

 東北学院大の金菱清教授と、石巻市南浜町出身で震災で両親を失った語り部の高橋匡美さんが先月、関西創価高(大阪府交野市)の生徒を対象に「疑似喪失体験 災害を我が事化する」と題した特別授業を行った。参加した生徒は震災当時、小学生だった世代だ。

 ◆4色のカード

 授業では生徒に水色、黄色、緑、ピンクの4色のカードが3枚ずつ配られた。それぞれに「形のある大切なもの」「大切な思い出」「将来の夢、目標」「大切な人」を書く。高橋さんが体験を語り、話の節目ごとに金菱教授が生徒らにカードを破る、丸めて投げるといった指示をする。失ったものは戻ってこないということを伝えるためだという。涙を流してカードを破る生徒の姿もあった。

 隣り合う生徒が互いにそれぞれの黄色と緑のカードを1枚ずつ破ることも。他人にカードを破られることで、災害は時や場所を選ばずに大切なものを奪うということを理解するわけだ。

 高橋さんが実家で母の遺体を見つけ、遺体安置所で父と再会したことを語ると、生徒らは最後に残った1枚のカードを両手で握り、細かくちぎった。「涙止まらず」

 その後、生徒らはちぎった最後のカードをつなぎ合わせた。金菱教授は「元に戻したカードは息を吹きかけるとばらばらになる。家族の記憶を頭の中で復元しては、ばらばらになってしまう高橋さんの7年間を表している」と語りかけた。

 「家族」と書いたカードを最後まで残したという同高の吉井由美さんは「話を聞き、カードを破っているときは涙が止まらなかった。家族や友人の大切さに気がついた」と話した。

 金菱教授は「災害で大切な人を失うということを自分のこととして捉えられたのではないか」と授業を振り返った。高橋さんは「明日が来るということは奇跡。今、この一瞬を大切に生きていこう」と生徒らに語りかけていた。

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