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諫早干拓、基金案による漁業再生へ 3県足並みそろえ沿岸漁協トップ会談

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諫早干拓、基金案による漁業再生へ 3県足並みそろえ沿岸漁協トップ会談

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、福岡、熊本、佐賀3県の有明海沿岸漁協・漁連のトップが、7日に会談することが分かった。開門しない代わりに漁業振興基金を創設する福岡高裁の和解案受け入れで、意見一致を目指す。開門派の反対で和解協議が決裂したとしても、基金案による有明海の漁業再生に向け、足並みをそろえる。 (村上智博)

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 福岡高裁(西井和徒裁判長)は3月5日、開門を強制しないように国が開門派漁業者側に求めた請求異議訴訟で、和解を勧告した。開門に代わり、国が創設する100億円の基金などで、漁業振興を図る内容だった。西井裁判長は「混迷した状況を打開する唯一の現実的な方策」とした。

 諫早問題では、長引く混迷にうんざりする漁業者側に、現実的な解決法として基金案を受け入れるムードが出てきた。

 特に福岡、熊本の両県漁連は、基金案の早期実現を求める。タイラギなど高級二枚貝の漁業再生には、一刻の猶予もならないという危機感からだ。

 福岡有明海漁連の西田晴征会長は「漁業再生は、今やらないと手遅れになる。いつまで裁判をするのかという思いがある」と語った。

 福岡、熊本両県漁連は、水面下で佐賀側との接触を重ねた。

 佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長はこれまで、開門派漁業者の側に立ってきた。だが、ここにきて基金案容認へ舵(かじ)を切った。

 3月14日には、同漁協所属の15支所の総意として、勧告に沿って和解協議を続けるよう求めることを申し合わせた。

 徳永氏は同19日に「(基金案を)受け入れざるを得ない」と表明した。佐賀県の山口祥義知事も基金案に理解を示した。

 ただ、佐賀県有明海漁協や佐賀県は、今回の訴訟当事者ではない。

 開門派弁護団の馬奈木昭雄団長は、3月20日の佐賀県議会で「基金案をのんでも、有明海は再生しない」「今後は開門を求める(干拓地の)営農者も増える。裁判は積極的に起こしたい」などと語った。

 福岡高裁の和解勧告に対し、国は今月4日、勧告を受け入れる回答書を提出した。

 一方、開門派の漁業者側は3月19日、勧告を拒否すると回答した。

 今月10日に和解協議があるが、決裂する可能性が大きい。その場合、7月30日に判決が言い渡される。福岡高裁は「開門を強制しない」という国の請求を認める判決になることを示唆している。

 福岡、熊本、佐賀3県の有明海沿いの漁協は、7日の会合で、今後は足並みをそろえて、有明海再生事業の実施を訴えるよう申し合わせる。

 高裁による判決後も見据え、歩調を合わせ、基金案実現を目指す。