PR

地方 地方

「被災者の思いリアルに」 盛岡で震災短歌の朗詠劇

Messenger

 「頑張れという励ましに言葉呑むもうこれ以上頑張れません」-。東日本大震災が起きてから、7年。盛岡市のもりおか町屋物語館浜藤(はまとう)ホールで、震災短歌の朗詠劇が上演された。詠まれたのは被災者らの作品。津波で受けた苦しみや家族を失った悲しみ、風化させてはならないという思いが劇場に広がった。(土樋靖人)

                   ◇

 11日に行われた朗詠劇を主催したのは、県内の芸術文化活動を支援している「いわてアートサポートセンター」。構成・演出を担当した坂田裕一理事長は「被災者の思いがリアルに感じられる場をつくりたかった」と意図を話した。昨年の3月11日には詩の朗読劇を上演した。

 震災短歌は、昨年8~11月に募集。被災者や岩手ゆかりの人、被災地に来たボランティアらから400首を超える作品が集まった。

 約40分の朗詠劇では、津波の恐怖などを表現したピアノの旋律に乗せ、4人の出演者が85首の作品を、ときに激しく、ときに寂しげに詠み上げた。ホールを埋めた約80人の観客の中には、劇が始まったとたん、目頭を押さえる人もいた。

 冒頭の短歌は陸前高田市の女性の作品。朗詠劇で真っ先に詠まれた。

 同市立第一中学校の卒業生だった坂田理事長は、震災があった平成23年の夏に会った同級生に「頑張れよ」という言葉をかけたときのことが忘れられない。

 公務員だった同級生はつらそうな表情を浮かべ、「何を頑張ればいいんだ」と言い返してきたという。同級生が3人の身内を亡くしていたのを知り、励ましの言葉が逆に苦しみを増幅させることがあると、身をもって感じたという。

 ホールには、大船渡市立根(たっこん)町の斎藤陽子さん(79)がいた。「浜人(はまど)」の題で応募した5首が優秀作品に選ばれ、上演前に表彰された。

 斎藤さんは震災で6人の親族を亡くした。漁師だった甥(おい)=当時(70)=は地震発生後、船を沖に出すため、高台の家から出かけたまま帰らぬ人に。「はちまきはタオルが好きと太くまき甥はあのまま津波に逝きぬ」

 舞台を見て、「声を出して詠んでもらってよかった。短歌を作っているのは、自分で自分を慰めるためかもしれない」と語った。

 選考委員の一人、県歌人クラブの八重嶋勲会長は「震災の記憶が薄れつつある。だからこそ、いまの心境をとどめていくことは有意義」と今回の企画を評価した。

 同センターは、今回応募してきた作品のうち、231首を収めた歌集「いわて震災詩歌2018」も500部作製した。1部200円。問い合わせは(電)019・604・9020。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ