PR

地方 地方

奈良・曽爾村の榧復活へ 香ばしさと香り活用、実をナッツや芳香蒸留水に

Messenger

 曽爾村に群生する希少な植物「榧(かや)」の実を村の特産品として売り出そうと、村農林業公社が実(種子)や果皮をローストナッツや芳香蒸留水に加工する取り組みを始めた。小さいころにおやつとして食べたお年寄りには懐かしく、若い人には新しい香ばしい風味とさわやかな香りで「地域の宝」の復活を目指す。

 ◆希少な存在

 榧はイチイ科の常緑針葉樹。木は建材や碁盤、将棋盤用の高級材として知られ、実は食用や薬用に、実から搾った油は天ぷら用の高級油などに使われてきた。かつては日本各地に分布していたが、過剰な伐採で激減。成木になるまで約300年かかるとされ、現存する榧は全国でも希少な存在となっている。

 古くから榧が暮らしとともにあった曽爾村は、現在でも村内に約50本が群生する珍しい地域だ。同村の農業、井上治子さん(77)は「子供のころは庭で拾った実をおばあちゃんが炒(い)ってくれて、かりかり食べるのがおやつだった。かき餅に入れてもおいしかった」と振り返る。榧料理を出す民宿を家族が経営していた井上善富さん(77)も「果皮は柑橘(かんきつ)系のいい香りがするので焼酎漬けにして食前酒に出したり、実はすりつぶしてごまの代わりにおひたしにかけたりしていた」と懐かしむ。

 だが、時代とともに実を食べる文化は衰退。拾われなくなった実は車にひかれ、つぶれては道路を油まみれにすることから、近年では“厄介者”として扱われていたという。

 ◆地域資源に

 そんな埋もれてしまった榧を「地域資源」として見直し、活用できないかと考えたのが、同公社の高松和弘さん(38)だ。高松さんは昨年10月から村民らとともに榧の実を集め、商品化第1弾として同11月、果皮から抽出したさわやかな香りが特徴の芳香蒸留水「榧 蒸留水」を発売した。第2弾は昔ながらの素朴で香ばしい炒った榧の味を楽しんでもらおうと、おやつやつまみ感覚で手軽に食べられる「榧の実ナッツ(ロースト)」を開発。2月下旬から販売を始めた。榧商品のパッケージデザインは昨年村に移住したグラフィックデザイナー、山本真由さん(36)が手がけ、「過去から未来へと、手から手へつないでいくイメージ」(山本さん)で榧の実をもぐ人の手が描かれている。

 高松さんは「商品化が軌道に乗れば、村の人が拾った榧の実を公社が買い取って加工し販売することで、村民に売り上げを還元できる」と期待を込める。同公社では次なる一手として、実から絞った香り豊かな油を食用に加工する作業に挑戦中で、高松さんは「榧の価値を広く認識してもらえるまで形にし続ける。そして次の世代に榧を残していきたい」と話した。

                   ◇

 榧の実ナッツは炒った「ロースト」(30グラム入り、税別600円)と、家庭で炒る「手作り用」(80グラム入り、同900円)の2種類。蒸留水は50ミリリットル入りで税別600円。同村の「曽爾高原ファームガーデン」などで販売中。問い合わせは同公社(電)0745・94・2101。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ブランドコンテンツ