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浜名湖殺人に死刑判決 「犯人、合理的に推認」 被告、宣告に顔色変えず

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浜名湖殺人に死刑判決 「犯人、合理的に推認」 被告、宣告に顔色変えず

 「被告を死刑に処する」-。浜名湖連続殺人事件の裁判員裁判で23日、静岡地裁(佐藤正信裁判長)から冒頭、死刑宣告を言い渡された川崎竜弥被告(34)は、身動きせず正面を見据えていた。裁判長が判決文を朗読する間、顔色を変えずメモをとり続けていた。公判中「黙秘」と繰り返し、事件の真相を語ることはなかった。最後に裁判長が「2人の死を悼み、人間らしい心を取り戻すことを望んでいます」と説諭。閉廷後、わずかに険しい表情を浮かべ、黒いジャケット、グレーのズボン姿の川崎被告は法廷を後にした。

 元同僚の須藤敬司さん=当時(62)=と知人の出町優人さん=当時(32)を殺害したとする凶器などは未発見のままで、被告の実家から押収した軽トラックや台車に被害者の血痕が付着していたことなど、検察側が積み上げた約150の状況証拠が焦点だった。弁護側は一貫して無罪を主張していたが、佐藤裁判長は、被告と被害者の足取りなどから「犯人であることは合理的に推認できる」と判断した。

 須藤さん事件では、平成28年1月30日に使用した台車に、須藤さんのDNA型と矛盾しない血痕が付着していたことや、31日にマンションから血痕のようなものが付着した畳を搬出していたことなどから、佐藤裁判長は「川崎被告がマンションから運び出した段ボールの中に須藤さんの遺体が入っていた可能性が高い」とした。

 また、須藤さんの財産移転に関して、「不自然ではない」と主張する弁護側に対し、検察側は「須藤さんは不動産の売却するなどとは周囲に話しておらず、川崎被告とも不動産を譲渡するような個人的な付き合いはなかった」と対立。判決では「須藤さんが川崎被告に財産のほとんどを譲渡する理由がない」として検察側の主張を認定した。

 出町さん事件では、出町さんが磐田市内のアパートで寝泊まりを始めて、遺体が発見されるまでの期間が短いことを挙げ、川崎被告以外にアパートに容易に入ることのできた第三者は存在しない可能性が高いとした。また、第三者の関与があれば、出町さんの遺体を切断するなどの行為は合理的ではないとして、「川崎被告が犯人でないとしたら合理的な説明がつかない」と結論付けた。

 ただ、出町さん殺害の動機に関しては、須藤さんの殺害を察知した可能性は高いとはいえないとして検察側の主張を退けた。

 留置場の隣房にいた男性への犯行告白の信憑性(しんぴょうせい)については、「須藤さんの遺体が発見される前のことであり、アパートで発見された中性洗剤など客観的証拠とも合致している」として、弁護側が主張した虚偽とする供述を退けた。