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連合窮地、分裂の兆しも 九州・山口の関係者、来年の選挙へ焦り深まる 

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連合窮地、分裂の兆しも 九州・山口の関係者、来年の選挙へ焦り深まる 

「連合政策・制度推進フォーラム」設立総会であいさつする連合の神津里季生会長=16日、東京・永田町の憲政記念館(斎藤良雄撮影) 「連合政策・制度推進フォーラム」設立総会であいさつする連合の神津里季生会長=16日、東京・永田町の憲政記念館(斎藤良雄撮影)

 連合が窮地に陥っている。民進党がばらばらになったことで、支持政党をめぐって傘下の産別の足並みがそろわず、組織として分裂の兆しも見える。連合本部は民進党系勢力の再結集を働きかけるが、難航が予想される。九州・山口の連合関係者は、来年の統一地方選や参院選を憂い、焦りを深めている。 (九州総局 村上智博)

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 「政党が割れたのは不本意だが、それくらいで連合の結束は壊れるものではありません」

 連合福岡の西村芳樹会長は1月9日、福岡市内のホテルで開かれた新年の賀詞交換会で、約160人を前にこうあいさつした。

 言葉とは裏腹に、連合の内情は厳しい。

 昨年10月の衆院選で、民進党は分裂した。立憲民主党、希望の党、そして参院議員を中心とする民進党の3つに割れた。

 中央の動きは、地方に波及する。民進党系の地方議員からは「もう民進党では戦えない。統一選前に離党するほかない」(福岡のベテラン県議)との声が止まらない。野党の中では支持率の高い立憲民主党に移る動きもある。

 連合本部は焦った。

 来夏の参院選で、野党が分かれたままでは、衆院選の二の舞を演じかねない。何より、組織内部に亀裂が走り始めた。

 連合傘下の中でも左派色の強い自治労は1月末、立憲民主党の政策を評価する運動方針を機関決定した。さらに私鉄総連は、参院選比例代表の組織内候補を、民進党ではなく立憲民主党からの擁立を目指すと決めた。

 他の産別は、これまでの経緯から民進党での出馬が「当たり前の世界」という。

 この結果、来夏の参院選では、連合の組織内候補が、産別によって異なる政党から立候補する事態が想定される。票が分散すれば、獲得議席は減る。

 さらに、選挙のしこりが、蟻(あり)の一穴となり、連合という組織の解体を招く可能性すらある。

 連合の神津里季生(りきお)会長は、野党の再結集を急ぐように今月16日、「連合政策・制度推進フォーラム」を設立した。連合の地方組織も「神津会長ら本部と一緒に動きたい」(連合鹿児島幹部)と期待する。

 地方組織の危機感も強い。連合福岡の西村氏は周辺に「連合は1枚のちぎり絵だ。近くで見れば色に濃淡はあるが、一部でもはがれ落ちてはだめだ」とこぼしている。

 そこで連合福岡は、メーデー(5月1日)までに「フォーラム福岡版」をつくる方向で、検討を始めた。

 フォーラム福岡版は、福岡選出の民進党系の国会議員5人の「接着剤」の役割を果たそうとしている。5人の所属は、3党に分かれている。地方組織としても、国会議員をつなぎ止めておかなければ、陳情などの面で、声を届けにくくなると判断した。

 だが、野党再結集の動きにスピード感はない。民進党と希望の党の統一会派構想も、交渉の土壇場で決裂した。電機連合の地方組織幹部は「産別で対応が割れるエネルギー問題などを棚上げした形でなければ、まとまるものもまとまらない」とみる。

 連合、そして野党議員に残された時間は少ない。来春の統一地方選の対象となる地方議員の多くは、今年夏までに、連合に推薦願を提出する。連合はその頃までに、中央での支持政党をどうするか、考え方を整理しなければならない。

 連合福岡のある幹部は「選挙に向けて、三手、四手先を読んで動きたくても、組織内議員がどの政党から出るのかなどが見えない。遅れ気味だ」と嘆く。

 選挙だけでなく、連合は労働・雇用政策でも、安倍政権に主導権を握られた。官邸主導の賃上げが進む。さらに労組の組織率低下も続く。

 誰のため、何のための組織なのか。労働運動や各政党との距離など、連合が抱える課題は大きい。

 戦後日本の労働組合組織では、社会党を支持する日本労働組合総評議会(総評)と、民社党支持の全日本労働総同盟(同盟)が大きな勢力を持っていた。総評は官公労が中心で左派色が濃かった。同盟は重厚長大型の製造業の労組などで構成し、活動では反共産党がにじんだ。

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 両者は平成元年に統一し、全国中央組織(ナショナルセンター)として、日本労働組合総連合会(連合)が誕生した。

 初代会長の山岸章氏は政治との関係を重視した。「自民党からの政権交代」を掲げ、社会、民社両党に保守政党の一部取り込みを図った。連合の動きは、平成5年の細川連立政権、翌年の新進党の結党に結実した。その後、民主党、民進党を支援する。

 現在は49の産業別組織で構成する。神津里季生会長は基幹労連、相原康伸事務局長は自動車総連の出身。加盟組合員数は約686万人(平成29年4月現在)。